阪神・近本 極める“守備道”2年連続2度目GG賞に「能力を伸ばしていく」

[ 2022年11月30日 05:15 ]

<三井ゴールデン・グラブ賞>トロフィーを受け取る阪神・近本 (撮影・白鳥 佳樹)
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 守備のベストナインに贈られる「第51回三井ゴールデン・グラブ賞」の表彰式が東京都内で開かれ、記者投票で選ばれたセ・パ18選手にグラブ型のトロフィーと賞金50万円が贈呈された。2年連続2度目の受賞となった阪神・近本光司外野手(28)は、来季も堅守でチームに貢献することを決意。守りの職人として“守備道”を極め、3年連続の同賞を狙う。

 光り輝くトロフィーを手にした近本は、ド派手な衣装にも冷静だった。くしくも社高(兵庫)の2学年年下である楽天・辰己も2年連続2度目の受賞。晴れ舞台に合わせた金色のジャケットと蝶ネクタイを着用して登壇。一昔前の漫才師をほうふつとさせる後輩の姿には思わず苦笑いを浮かべた。

 「後輩がゴールデンジャケットで来ました。来シーズンはいかかですか?」

 司会者からの予期せぬ“けん制球”にも持ち前の瞬発力と堅実さで対応した。「彼は彼らしく、そういう場でいいパフォーマンスができている。僕は落ち着いていきたいと思います」。自身は対照的に衣装も控えめなスリーピースのスーツを着用。そしてプレーと同様に発言でも真骨頂である“堅い守り”を発揮した。

 「今年1年、この賞を目標にやってきた。昨年も初受賞でうれしかったんですけど、今年もすごくうれしい」

 阪神の外野手部門では、03年から4年連続で受賞した赤星憲広以来となる連続受賞となった。過去に獲得した最多安打や盗塁王のタイトルよりも欲しかった勲章。攻撃の持ち味は積極的な打撃と果敢な走塁ながら守備での最終ゴールは地味で洗練された職人の域だ。

 「やっぱりプロ野球選手だなと思ってもらえるプレーが大事。そういう能力を伸ばしていきたい」

 その「守備道」を極めるために必要な要素が、的確なポジショニングや天候を考慮した打球判断。さらに正確なスローイングなど項目は多岐にわたる。その全てが凝縮された今季のベストプレーはクライマックスシリーズ(CS)ファーストS第3戦で生まれた。

 10月10日のDeNA戦。代打・桑原の左中間寄りのライナー性をダイビングキャッチ。「(守備で一番大切なことは)準備とかイメージ」と華麗な好守の裏には確かな準備があった。「(同賞は)まず一個、まず今年というのを意識しています」。今季は3失策で守備率・990。派手さは求めず高みだけを目指す。堅実なプレーを積み重ねた先に、黄金に輝く3個目のトロフィーがある。 (石崎 祥平)

 【来季は仲間と】○…来季は、チームメートとともに壇上に上がることに期待を寄せた。「去年も(表彰式は)一人で、なんとか内野手から出てくる状況になればいい」。今季、2年連続でセ・リーグを制したヤクルトからは捕手・中村、遊撃・長岡、外野では塩見が受賞。2000年以降の阪神では、3人以上が選出された03年(捕手・矢野、一塁・アリアス、二塁・今岡、外野・赤星)、05年(捕手・矢野、一塁・シーツ、外野・赤星)はともにリーグ優勝。来季「アレ」をつかみ取るためには同賞の受賞者3人以上が一つの指標となりそうだ。

【赤星以来 阪神外野手連続受賞】
 近本(神)は2年連続のゴールデングラブ賞受賞。阪神外野手の連続受賞は赤星憲広の4年(03~06年)以来16年ぶり。最長は新庄剛志の5年(96~00年)。失策が昨季の1度から3度に増えたため、守備率は・996(リーグ3位)から・990(同6位)にダウンしたが、他の項目では刺殺で264(2位)→299(2位)、補殺4(8位)→5(2位)、直接送球による補殺3(7位)→4(1位)と昨季を上回る数字を残した。

 ▽近本のベストプレー 10月10日、DeNAとのCSファーストS第3戦(横浜)1点リードの6回裏の守備。先頭の代打・桑原が放った左中間への飛球をダイビングキャッチ=写真。「最初は無理かなと思いながら(打球を)追っていくうちに、ボールが変化して、いけるかなとなった」抜けていれば長打は確実の一打を好捕。敵の反撃の芽をつんだ。

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