西武ドラ2の佐藤 独特な回転直球 球団初の国立大出身投手はバット3本へし折る

[ 2022年2月7日 05:30 ]

打撃投手を務める西武・佐藤(撮影・尾崎 有希)
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(直球独特な回転/) バットを3本へし折った。文字通り「分かっていても打てない直球」。オール直球の取り決めの中、西武のドラフト2位左腕の佐藤(筑波大)が、宮崎・南郷キャンプでフリー打撃に初登板した。

 球団初の国立大出身投手。目の前に防球ネットがあり「ちょっと投げにくいな…。ストライクを投げるのを優先しよう」と決めた。通常と違う状況下でも数値化した投球フォームが生きる。卒論テーマで3、4年時に全身にマーカーを着け動作解析。肩関節や股関節の可動域が数字で頭に刻まれている。

 右の大砲・渡部への5球目。昨季イースタン・リーグの本塁打、打点の2冠王のバットは鈍い音を立て打球は力なく中堅に飛んだ。「シュートする球質で折れたのかと思う」と独特の回転がある直球は打者の手元で微妙に変化し、芯を外す。左打者の鈴木のバットも同様に折った。左腕ながら左打者の懐を攻められるのも武器。さらにもう一度、渡部のバットに亀裂を入れた。球速表示はなかったが、最速152キロの本格派の片りんを示し「左右関係なく投げることはできた」とした。

 名前は「隼輔(しゅんすけ)」。父親が元サッカー日本代表・中村俊輔の大ファンだった。競技は違うがスポーツIQの高さや、表情を変えず淡々と落ち着いて話す口ぶりが重なる。

 球を受けた森は「とにかく球に力がある。凄い」。一方で、佐藤自身は「コントロールがアバウトになってしまったので精度を上げたい」と冷静沈着だった。昨季最下位のチームは、左腕がわずか2勝。左腕不足解消の救世主と期待される。 (神田 佑)

 ○…リーグ優勝した18年は菊池14勝、榎田11勝と先発左腕2人で25勝。だが、19年5勝、20年6勝と先発左腕勝利は減り、昨年は内海、浜屋各1勝の計2勝だった。西武のシーズン先発左腕勝利が2勝以下は96年(竹下2勝)以来25年ぶり。ちなみに昨年のオリックスは宮城13勝、田嶋8勝、山崎福7勝と先発左腕で計28勝を挙げた。

 《ドラ1隅田も53球》ドラフト1位左腕の隅田(西日本工大)もフリー打撃に初登板。山田と高木に計53球、序盤は予告した直球のみで両打者から1球ずつ空振りを奪い、辻監督ら首脳陣を驚かせた。「ミットを目がけて自分のフォームでしっかり投げることができた」。球を受けた森は「とても器用な投手。球の質が素晴らしい」と印象を口にした。

 

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2022年2月7日のニュース