中村武志 新庄監督は現役時代に実践していたことを選手に植え付けている

[ 2022年2月7日 05:30 ]

中村武志氏

 【中村武志 視点】紅白戦で、いきなりの満塁設定に驚かされた。最もプレッシャーのかかる場面。絶体絶命で投げる投手、絶好機となる打者だけではない。守備や走者面でも集中力を保つことができる。しかも、ビッグボスがマイクで守備位置や走者に指示し、さらに外野まで来れば、なおさらだろう。

 二塁走者にはリードをもっと大きくと指示する場面があった。1死満塁の状況から単打で2点目を奪う。それだけではない。例えば遊ゴロで二塁からの送球がワンバウンドで一塁手がはじき、併殺で終わらないこともある。ここで二塁走者も生還できるか。加えて現役時代に捕手だった私からすれば、本塁でクロスプレーになるかならないかは「0・5歩」の違いである。公式戦で0・5歩リードを大きく取れば、クロスプレーに持ち込める。

 中日時代、阪神に在籍したビッグボスとは何度も対戦した。打たれた印象はないが、走塁と外野守備は記憶に強く残っている。誰よりも大きくリードを取っていたし、外野のポジショニングでも配球や、打者が狙った打球方向などで1球ごとに守る位置を変えていた。走塁と守備は練習をすれば身につく。ビッグボスは現役時代に実践していたことを選手に植え付けている。

 一見するとケース打撃だが、紅白戦という名目があるだけで選手の捉え方も違う。さらに選手には直前まで満塁設定を伝えていなかったようだ。瞬間的に考えさせて、実戦に向かわせる。疲れも出て、中だるみしやすい第2クールで、いい練習を見させてもらった。

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2022年2月7日のニュース