もがいた先に見える光 今オフが中日・根尾のターニングポイントになるか

[ 2021年12月6日 07:15 ]

中日・立浪監督(右)の指導を受ける根尾
Photo By スポニチ

 11月4日から26日までナゴヤ球場で行われた中日の秋季キャンプ。立浪新監督の下でハードな基礎練習を繰り返した若手たちは充実した表情でキャンプを打ち上げた。その中で気になる選手がいる。来季4年目を迎える根尾昂だ。

 18年ドラフト1位入団のホープはキャンプ最終日の昼に立浪監督から本職の遊撃ではなく「来年は外野1本で勝負しろ」と告げられた。

 中日の遊撃には入団から5年連続で規定打席をクリアした中心選手の京田がいる。現状の実力では、この分厚い壁を越えることは難しい。指揮官は中堅の大島以外はスタメンが固定されていない外野で競わせた方が、出場のチャンスが多く、チーム力の向上にもつながると考えたのだろう。また、秋の時点で起用方針をはっきりと打ち出したのは根尾に対する期待の表れ。奮起を促す意味合いもあるに違いない。

 もちろん、根尾はこれを受け入れ「打撃が物足りないんだろうなと正直自分でも思うし、周りからもそう見られているという自覚はある。打つしかないと思う」と前を向いた。

 自ら課題に挙げる打撃はキャンプでフォーム改造に着手。最終日の時点では「打ちに行くまでのタイミングの取り方は、いくつかこれにしようというのがある。これから決めていきたい」と話すなど、“来年はこれでいく”というものをつかみ切れていなかった。

 試行錯誤の20日間だった。毎日のようにフォームが変わり、打球の角度や質だけでなく、打撃時の声の出し方まで日替わりだった。監督やコーチから様々な助言や練習方法を授かり実践した。ドラフトで4球団から1位指名を受けた天才は必死にもがいていた。

 キャンプから約1週間が過ぎ、ナゴヤ球場の室内でマシンを相手に真剣な表情で打ち込む根尾を見た。遅めの球を確かめるようにはじき返すそのフォームはキャンプ中に何度か見た形だった。幅の狭いクローズドスタンスから足をあまり上げずに踏み出す力みのないフォームだった。これが最終形なのかは分からないが、私の目には良い形に映った。暗闇の先に光が見えた気がした。

 プロ野球で才能を開花させた選手にはターニングポイントがある。現役時代の中村紀打撃コーチは若手のころに藤井寺球場で太ももが肉離れを起こすほどダッシュを繰り返し、通算404本塁打の土台を作った。根尾は今秋のキャンプをきっかけにしてもらいたい。もちろん、こだわってきた遊撃での出場もあきらめてほしくはない。打撃でしっかりと結果を残し、堂々と厚い壁に挑む姿がみたい。(記者コラム 中澤 智晴)

続きを表示

「始球式」特集記事

「新庄剛志」特集記事

2021年12月6日のニュース