コロナ下で迎える2・1特別な球春…“超厳戒”沖縄キャンプ 本紙記者が現地直前リポート

[ 2021年1月31日 06:45 ]

那覇空港に設置されたサーモカメラの前を通過する山田(左)と中村(撮影・村上 大輔)
Photo By スポニチ

 2月1日、12球団が一斉にキャンプインする。新型コロナウイルスの影響で沖縄、宮崎など無観客でスタート。30日にはヤクルト、楽天が沖縄に、オリックスが宮崎に入った。コロナ下で特別なキャンプを迎える沖縄の現状を、ヤクルト担当の青森正宣記者(34)がリポートした。

 いざキャンプ取材へ。28日に受けたPCR検査で出た陰性判定の結果を携えて、羽田空港から沖縄へ向かった。

 例年なら意気込むような、ワクワク感を感じる一日。だが、那覇空港の到着ロビーで待ち受けていたのはファンではなく、サーモカメラだった。乗客の体温を測るために設置され、レンズ越しに数人の係員が一人一人をチェック。予想はしていたが、いつもとは違う無機質な光景だった。

 ファンでごった返すはずのターミナルも静かなまま。恒例のセレモニーもなかった。キャンプインを2日後に控え、土曜日にもかかわらず、野球少年の姿は見当たらない。寂しい限りだった。県独自の緊急事態宣言下の沖縄は30日、男女80人の新型コロナウイルス感染を確認。県内感染者は計7508人に上っている。

 ヤクルトの選手たちは、用具などを運ぶため宿舎を経由して浦添球場へ。例年なら、球場への移動は数人ずつタクシーだが、今年は外部で接触する人を極力減らすためにバス2台で移動。チームも徹底した対策を立て、キャンプを乗り切ることに尽力している。

 街中もコロナの影響はくっきり見て取れた。記者が宿泊するホテル関係者は「いつもならキャンプ期間中は満室ですが、今年は1割程度です」と予約が記されたパソコンの画面を見ながら肩を落とした。原稿を書き終え、夕食を買いに外に出掛けたが松山や国際通りなどの繁華街の明かりはポツリポツリ…。県の時短営業要請を受け、ほとんどの店が午後8時で閉店していた。

 羽田空港から「コロナ禍」を感じざるを得なかった。保安検査場の4つのうち2つが閉鎖していた。記者歴8年で初めて見る光景だった。

 31日、全球団が静かなキャンプ地に入る。開幕まで50日あまり。覚悟のキャンプが、明日スタートする。

 ≪ロッテ 球団が報道陣の弁当手配≫ロッテのキャンプ地・石垣島では、観光客らしき姿をあまり見かけない。観光客相手の飲食店は多いが、緊急事態宣言の間、休業している店舗が目立つ。球団からは報道陣にも、不要不急の外出を控えるように要請が出ている。連日、コンビニ店のお弁当ばかりだ。球場周りは例年、屋台のような飲食売店があったが、今年はなし。昨年は報道陣もそこで昼食を取っていたが、今年は球団が弁当を手配することになった。球場外に出る感染リスクが考慮された。選手宿舎も昨年、佐々木朗らは相部屋だったが、今年は全て1人部屋に。選手も必要最低限の外出のみとなっている。

 ≪日本ハム 球場外で報道陣との接触NG≫日本ハムのキャンプ地・名護のタピックスタジアム名護では、選手と報道陣がソーシャルディスタンスを取れるように考慮。取材場所はミックスゾーンに限定され、既に柵が設置された。24日から先乗り自主トレを行う選手の取材は許可されているが、ファンの姿はなく、公園利用者がたまに見学に訪れる程度。キャンプイン後は、例年と同じ8人の警備員が配置され、選手と公園利用者が接触しないように柵、ロープなどで動線が区切られる。報道陣は宿舎や球場内部への立ち入り、選手・球団関係者と球場外で面会することは一切禁止。

 ≪楽天 恒例の新人取材がリモート対応に≫楽天は例年の久米島キャンプであれば、ルーキーら新加入の選手がチーム宿舎に到着した後、報道陣の取材に応じるのが恒例だった。だが、今年は新型コロナウイルスの感染防止対策のため、宿舎の敷地内に報道関係者が立ち入ることが禁止されている。ドラフト1位・早川(早大)の取材もリモート取材での対応となった。那覇空港では、到着ロビーに設置されたサーモグラフィーで乗客の体温をチェック。空港内は人もまばらで、例年のような歓迎式典もなく、ファンの姿もなかった。

続きを表示

この記事のフォト

2021年1月31日のニュース