六大学ドラ1カルテットが明かす“嫌だった打者”

[ 2020年12月22日 09:00 ]

ボールを手にポーズを決める明大・入江(左)、慶大・木沢(中央上)、早大・早川(中央下)、法大・鈴木(右)
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 先日、東京六大学リーグからドラフト1位指名された4投手の座談会を行った。

 日本で年12人しかいない1位指名を勝ち取り、東京六大学という国内屈指のリーグで力をつけた4人に聞いてみたいことがあった。
 「実は嫌だった打者は誰ですか?」

 質問を投げかけると4人中3人の最初の答えが一致。これには驚いた。

 ヤクルト1位の慶大・木沢が言う。「早稲田の吉沢です。2年の春に対戦して、でっかいレフトフライを打たれたのが印象に残っている。強振してくる打者だなと思っていたら、4年で2番。打撃の幅が広がって、嫌らしさが増していた」。ロッテ1位の法大・鈴木は「すごく振ってくるし、バスターもうまかった」と深くうなずいた。DeNA1位の明大・入江も「吉沢に対しては同感。本当に嫌なバッターでした」と振り返った。

 早大の吉沢一翔内野手(4年)は大阪桐蔭出身の右の強打者。一時は高校の後輩・中川卓也にレギュラーを譲ったが、相当な努力家で首脳陣からの期待も高かったと聞く。リーグ戦通算打率は・183だったが、ドラ1腕たちを手こずらせ、強烈なインパクトを与えた。卒業後は社会人野球・大阪ガスでプレーする予定で、今後の活躍に注目したい。

 楽天1位の早大・早川は郡司裕也(慶大―現・中日)を挙げた。「クレバーな打者で、考えてることが読めない。どこ投げたらいいんだろうと混乱するような…抑えた記憶がなかった」。

 入江は宇草孔基(法大―現広島)も挙げた。「当てても内野安打、大きいのも打てる打者。走者としても絶対に出してたくなかった」と振り返る。常総学院―法大と後輩だった鈴木は「宇草さんはここに来たらこう打つというのを全て考えていた」と証言する。

 対談収録時は早慶戦直後だったため、木沢は早大の3番・滝沢虎太朗外野手(4年)も挙げた。「何度も悔しい思いをさせられた。バットに当てるのが巧い。低めに投げきらないとボールゾーンは拾ってきますし。外角をバットでコツっと当てても飛ばす力を持っていた」。滝沢も吉沢同様、社会人で野球を続ける。いつかプロの舞台で再戦が見られるかもしれない。

 4人にとっては、打たれた苦い思い出も大きな財産。数々の経験を抱え、プロで羽ばたこうとしている。(記者コラム・松井 いつき)

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2020年12月22日のニュース