阪神・糸井 204打席ぶり一発、自己最長ブランク抜けた 賞金100万円に「早くちょうだい」

[ 2020年9月30日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神7-3中日 ( 2020年9月29日    甲子園 )

<神・中(16)> 5回2死一塁、勝ち越し2ランを放ち笑顔で生還する糸井(撮影・大森 寛明)
Photo By スポニチ

 阪神・糸井嘉男外野手(39)が29日の中日戦で、自身204打席ぶりとなる2号2ランを放った。3―3の5回2死一塁から決勝弾。甲子園では18年9月12日中日戦以来748日ぶりの一発となった。奇跡へ望みをつなげたい13連戦の初戦。主力の新型コロナウイルス感染による緊急事態の中、ベンチ入り野手最年長の超人が打線をけん引した。

 初球に狙いを定め、一振りで仕留めた。両手に残った久々の好感触が心地良い。同点の5回2死一塁。糸井が勝野の甘い外角高め直球を、逃さなかった。

 「つなごうという意識で入りました。初球から強いスイングをすると心掛けていったのが良かったのかもしれません。きょう甲子園で打てて本当に良かったです」

 弧を描いた白球は、バックスクリーンへと着弾した。6月27日DeNA戦以来、出場58試合204打席ぶりとなる2号。自身の逆襲を告げる決勝弾は、甲子園では18年9月12日中日戦以来748日ぶりの本塁打だった。

 開幕して以降も右膝の状態が芳しくなかったが、ここへ来て明らかに打撃が本来の姿を取り戻しつつある。7回には右前打を放ち、25日ヤクルト戦以来3試合ぶりの複数安打。先の21~25日にかけて4戦連続マルチ安打をマークするなど、9月の月間打率も・352となった。

 糸井節も復活した。今季から新設された「ユニチャーム バックスクリーン賞」で賞金100万円も獲得。「早くちょうだい」と白い歯もこぼれた。会心の一撃を「10年ぶり(の感触)ですね」と上機嫌に振り返ったが、10年前の感触を問われると「忘れた」とここでも冗談めかした。

 常に高みを見据えてきた。昨オフに参加したトークショーでは「ホームランもキャリアハイ(20本)を目指します」とファンの前で誓った。年齢的に周囲が困難だと思っても、あえて口に出して、自らにプレッシャーをかけてきた。結果に恵まれず、自問自答した時期もあった。それでも「毎日しっかり準備してきた」と自分を信じてきたことが、結果に表れた。

 主力の新型コロナウイルス感染によって、福留も濃厚接触者扱いとなり離脱した。ベンチ入り野手では糸井が最年長。そのキャリア通りに打線をけん引し、矢野監督からも「場面も最高やったし、打球も良かった。最高のホームラン」と称えられた。

 お立ち台は「明日も勝つ」と力強い発声で締めくくった。首位・巨人と12・5差でも、最後まであきらめない。使命感に燃え、チームの窮地を救う。(長谷川 凡記)

 《甲子園では2年ぶり》糸井(神)が5回に勝野から中越えの2号2ラン。6月27日のDeNA戦(横浜)5回にピープルズから2ランを打って以来204打席ぶり。出場58試合ぶりは日本ハム時代の12年、5月16日の2号から8月3日の3号にかけての55試合ぶりを上回る自己最長ブランクとなった。甲子園の本塁打は18年9月12日の中日戦で初回に小熊から2ランを打って以来2年ぶり。昨季の5本は京セラドーム1本とビジターで4本だった。

続きを表示

この記事のフォト

2020年9月30日のニュース