最初にどん底 巨人・増田陸 一流の流儀を見た「あれだけ打てるのはこういうことかと」

[ 2019年11月6日 09:00 ]

阿部2軍監督に打撃指導を受ける増田陸
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 全体練習後のジャイアンツ球場の室内練習場。巨人・増田陸が鏡に向かい、黙々とバットを振っていた。シーズンの大半をリハビリに費やし、イースタン・リーグ出場ゼロに終わったルーキーイヤーを「一番最初にどん底を味わった。でも体づくりもできて、自分の中でプラスに考えている。来年につながるいい一年になった」と前向きに振り返った。

 明秀学園日立から18年ドラフト2位で入団。坂本勇を育てた金沢成奉監督から指導を受け、坂本勇が入団時に付けた背番号61を背負う「坂本2世」にいきなり試練が訪れた。1月の新人合同自主トレ。バットを振った際、高校時代から痛みと闘ってきた左手首に激痛が走った。一時は保存療法を選択するも、5月中旬の3軍戦の守備で再び痛めた。悩んだ末、6月下旬に手術へ踏み切った。

 人生初の手術を受けてから一週間、強烈な痛みとの闘いが続いた。人工的に骨折させ、縮めた骨をプレートで留める難易度の高い手術。無事に成功したが、麻酔が切れ、目覚めた瞬間に経験したことのない激痛が走った。「起きた時は半端なかった。やばいです。めっちゃ痛い」。強いしびれもあり、何度も点滴に痛み止めを入れてもらわないと夜眠れないほどだった。

 苦しみをプラスに変えた。リハビリ期間で下半身を重点的に鍛え、プロ入りから6キロ増。「太腿とかケツとかが、めっちゃでかくなった」と手応えをつかんだ。もう1つ大きく変わったのが野球への取り組み方だ。「一人の時間が多い。時間の使い方は本当に大事だなと思った」。体幹トレーニングとストレッチを毎日やると決めた。スマホをなるべく触らないようにし、これまでほとんどしてこなかった読書にも取り組み始めた。

 憧れの存在が、野球への姿勢を変えるきっかけとなった。1月のジャイアンツ球場の室内のトレーニングルーム。一人、鏡に向かい、黙々とスイングする坂本勇がいた。その姿を間近で見た増田陸は「えぐと思った。あれだけ打てるのはこういうことかと。プロは皆一人でやっている。そういうところが凄い」と一流の流儀をまざまざと見せつけられた。

 地道なリハビリが実った。当初は12月に復帰予定だったが、順調に回復し10月22日にフェニックス・リーグで実戦復帰を果たした。翌23日には対外試合初本塁打を放った。幸先の良いリスタートにも「自分の中ではもう来年は始まっている。ここからを大事にしていきたい」と前だけを見つめる。11月下旬から台湾のウインターリーグにも参加する予定。実戦を積み重ねていく。

 来季は勝負の2年目。「2軍の試合に多く出て、結果を出して、1軍の監督、コーチにアピールして呼ばれるくらいになりたい。チャンスをつかめるように、常にそこ(1軍)を見据えた練習をやっていかないと」。坂本勇と同じ東京ドームのグラウンドに一日も早く立つ。(記者コラム・岡村 幸治) 

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