高校球児に「甲子園」を目指さないという選択肢があってもいい

[ 2019年5月24日 08:30 ]

令和元年の夏、注目を集める大船渡・佐々木
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 【君島圭介のスポーツと人間】高校球児の球数制限は常に賛否が分かれる。全国の野球部員のほぼ全員が甲子園出場を目指している現実と、プロ野球を含めて将来的に競技を続けることを前提とした理想が妥協点を見出せないからだ。

 甲子園出場を目指す球児に球数制限を強要するのは不条理だ。福岡県高校野球連盟が今春実施したアンケートでは現役野球部員の87%が「球数制限」に反対したという。完封目前のエースが規定で降板し、2番手が打ち込まれて夢破れたら一生悔いを残す。87%が反対するルールを押しつけるのはいかがなものか。

 必要なのは「球数制限」ではなく、高校球児の選択肢だ。プロ野球の12球団はそれぞれの保護地域で野球教室を含めたアカデミーを実施しているが、プロアマ規定があるため中学生までの指導が限界だ。12球団が高校生のためにクラブチームを設立し、高校の部活動とは違った形で選手の育成を行うことは出来ないのだろうか。「甲子園」を目指さない、という選択肢が高校野球にあってもいい。

 日本野球機構(NPB)は毎年12月に小学生を集めたジュニアチームを結成し、12球団トーナメントを開催している。それを中学生、高校生の大会まで一貫して開催するのは可能なはずだ。やらない理由こそあらためて明確にし、前向きに議論すべきだ。

 甲子園で数百球を投げ込み、真夏の全国トーナメントを勝ち上がった豪腕投手と、NPB傘下のクラブチームで最先端のトレーニング理論で作り上げられた精鋭が、プロの舞台で投げ合う姿は興味深い。

 ただ、最後にある証言を紹介したい。NPB球団の1軍投手コーチ経験者の言葉だ。

 「若い投手がブルペンで100球投げると『きついです』と音を上げる。聞けば高校時代も100球以上を投げることは少なかったそうだ。100球しか投げない投手は、結局のところ100球も投げられない」。(専門委員)
 

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