東芝4強!逆転勝利 これぞリアル「ルーズヴェルト・ゲーム」

[ 2017年7月24日 05:30 ]

都市対抗野球大会第10日・準々決勝   東芝5―4JR東日本 ( 2017年7月23日    東京ドーム )

<東芝・JR東日本>12回1死満塁、佐藤旭の中前2点適時打で勝ち越し、大喜びの東芝ナイン
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 東芝(川崎市)が準々決勝でJR東日本(東京都)を延長12回タイブレークの末に破り、4年ぶりの4強入りを果たした。岡野祐一郎投手(23)が8回3失点と好投し、打線もプロ注目の左腕・田嶋大樹投手(20)を攻略した。日本通運(さいたま市)と三菱日立パワーシステムズ(横浜市)も準決勝に進出、ベスト4が出そろった。

 1番・佐藤旭のバットが大きな2点を叩き出した。延長12回1死満塁で始まるタイブレーク。攻撃側がどの打順から始めるか選択できる中、工藤賢二監督から「おまえでいくぞ」と背中を押され、打席に入った。左前へはじき返し、その裏を1失点でしのいだ。

 「全員でね。よく戦ってくれた」。粘りの勝利を工藤監督がねぎらった。相手の先発は大会屈指の好投手・田嶋。プロ注目左腕との投げ合いに一歩も譲らなかったのはルーキー右腕の岡野だった。初回に先制ソロを浴びたが冷静だった。球審のストライクゾーンが外に広いと見抜き、外角へ決め球を配した。8回、123球を投げ、5安打3失点。「勝利に近づける投球はできた」と汗を拭った。

 岡野は宮城・石巻出身。11年の東日本大震災では津波で実家が大きな被害を受けた。その年、聖光学院(福島)で1学年上の歳内(阪神)らと甲子園に出場した。「野球ができるのが当たり前じゃない」。前日は福島大会で11連覇した母校の熱戦を横浜市の寮でネット観戦し「刺激をもらった」と力に変えた。

 4年ぶりの4強だが、本社は経営不安の中にある。経営不振の企業と野球部の再生を描いた池井戸潤氏の小説「ルーズヴェルト・ゲーム」は、14年にドラマ化もされ野球部が再三のピンチを逆転で乗り越える内容だった。この試合も9回の土壇場で追いつき勝利した。歴代2位の7度の優勝を誇る名門の「リアル・ルーズヴェルト・ゲーム」。佐藤旭は「都市対抗に勝つことで執念を見せたい」と誓った。(君島 圭介)

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