鷺宮製作所 野口 全国大会初先発で6安打完封

[ 2016年11月5日 17:45 ]

第42回社会人野球日本選手権第8日2回戦 ( 2016年11月5日    京セラD )

 9回2死一塁、代打・高田に投球をはじき返された瞬間、鷺宮製作所の野口は両手を膝につき頭を大きく垂れた。

 「飛ばされたイメージがあったんで、(スタンドまで)行ったかと思いました。打球の行方を見たくなかった」

 おそるおそる振り返ると平凡な左飛でゲームセット。直前の行為を照れるように、控えめに左腕を突き上げた。

 2回に自らの犠打野選で招いた無死一、三塁のピンチを無失点でしのぐと勢いに乗った。

 「初球からストライク先行でいけたし、カーブがうまく決まった。自分は球が遅いので、出し入れで勝負しないと」

 この日の最速は135キロながら、緩急を付けて打者の打ち気をそらす。7三振のうち4個は見逃しで奪い、四球も1つにとどめて全国大会初先発を6安打完封で飾った。

 セットポジションから躍動感あふれるフォームで投げ込む姿は、1メートル63という身長を感じさせず、抜群の制球力はプロ通算152勝のヤクルト・石川を思わせる。「高校(前橋商)時代から似ていると言われますね」。それでも誰かを参考にすることなく、あくまでも自らのスタイルを追求している。

 入社2年目の躍進には、精神的な成長を挙げた。「1年目は必死に投げるだけだった。今年は周りを見て、余裕を持ってできている」。チームは4強入りした05年(第32回大会)以来のベスト8。「失うものは何もない。チャンスがあれば、思い切って取りに行きたい」と貪欲に頂点を見すえた。(石丸 泰士)

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2016年11月5日のニュース