希少なアンダースロー ヤクルト山中の下半身を育んだ“和式”

[ 2016年11月5日 10:30 ]

球界でも希少なアンダースローのヤクルト・山中浩史投手

 プロ野球はオフシーズンを迎え、選手は来季に向けた土台づくりに励んでいる。ヤクルトの山中浩史投手も埼玉県戸田市内の2軍施設でひたすら走り込んでいる。「この時期は地味なことをどれだけ丁寧にやれるか。一日一日が大事です」と大粒の汗を流している。

 球界でも希少なアンダースロー。足腰への負担は大きいが、生まれ育った環境が柔らかい足首と強じんな下半身をつくり上げた。楊貴妃が中国からたどり着いたとされる「楊貴妃伝説」のある熊本県天草郡新和町(現天草市)出身。中学まで過ごした実家は和式便所だった。「足首が柔らかいのはそのおかげかもしれない。効果はあるっちゃある」とニンマリ。必由館高に進学する際に新居に引っ越して洋式トイレになったというが「たまに意識して和式便所に入ります」という。社会人のHonda熊本時代に足首を故障したことで少々硬くなってしまったそうだが、日々の何気ない生活行動が下半身の柔軟さをつけるのに一役買ったとは驚きだ。

 下半身強化は「永遠のテーマ」と話す山中を支えているのは、努力と好奇心だ。昨オフには由館野球部の同級生で競輪選手の松岡孝高の指導の下「競輪トレ」に励んだ。あまりの過酷さに倒れ込んでいた姿が印象的だったが、64センチを誇る太腿をさらに鍛え上げた。そして今オフに向けて新たな計画も練っている。「ドラゴンゲート」に所属するプロレスラーの堀口元気は必由館の先輩。昨年、食事をともにしたそうで、時間が合えば試合の観戦を希望している。さらに「どんなトレーニングをしているのかも気になる」と、自身の役に立ちそうなものは何でも吸収しようとしている。

 トレーニング以外でも「パワースポットに行こうと思っています」。今季最終戦後に村中からアドバイスされたそうで「運気を上げるというか、ポジティブになれればいい」と、どこのパワースポットを訪れるか現在検討中だ。

 昨季は球団では58年に開幕から9戦9勝した「カネやん」こと金田正一以来の開幕6戦6勝でリーグ制覇に貢献。今季は規定投球回にわずかに届かなかったが、22試合で140回を投げた。ただ、6勝12敗、防御率3・54と満足のいく結果ではなかった。「全部勝ちたい。勝たないと面白くない。負けない投球、ゲームを試合する投球ができればいい」と山中。その姿に近づくため、あらゆるものを取り入れて突き進んでいく。(記者コラム・町田 利衣)

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2016年11月5日のニュース