黒田、大谷メジャーに太鼓判 投でも打でも「高い確率で成功」

[ 2016年11月5日 05:36 ]

奉告会に姿を見せた黒田と新井(右)

 日本シリーズを最後に現役引退した広島・黒田博樹投手(41)が4日、マツダスタジアムで行われた会見で今季を振り返り、世界から注目される日本ハム・大谷翔平投手(22)について、メジャーでも成功することに太鼓判を押した。日米通算203勝を挙げたレジェンド右腕は10月25日の日本シリーズ第3戦(札幌ドーム)で二刀流の若武者と対決。6回に左飛で打ち取ったフォークが現役最後となったが、現役20年間の集大成として、晴れやかに振り返った。

 会見には報道陣150人、テレビカメラ18台が詰めかけた。周囲の熱気をよそに、その表情はすがすがしい。広島市民賞授与式に臨んだままのユニホーム姿で黒田は言葉をつないだ。

 「日本一になれなかった悔しさはあるけど、自分の中では出し切った充実感がある。今年優勝できて、最高の締めくくりができたかなと思う」

 完全燃焼した達成感がにじんでいた。10月25日、日本シリーズ第3戦(札幌ドーム)の記憶に鮮烈に残る。右ふくらはぎがつり、1点リードの6回途中に1失点ながら無念の降板となった。それでも、現役生活ラスト1球は魂を込めて投げ込んだ。打席に立っていたのは大谷だった。

 1、2打席はメジャーが注目する二刀流に、2打席連続で二塁打を浴びたが、右ふくらはぎの異常を感じながらも、3打席目は外角に沈むフォークで左飛に打ち取った。「(直後に降板した)悔しさと、最後に投げた球が彼だったという、うれしい気持ちがある。いい思い出になる」。一時代の終焉(しゅうえん)を告げるシーンとなった。

 会見で大谷のメジャー挑戦についても質問が飛び出すと、黒田が逸材の未来像も予想した。「投手と野手、どちらを選択するか分からないが、かなり高い確率で成功すると思う。チャレンジするなら、一ファンとして楽しみにしたい」。08年からドジャース、ヤンキースで活躍。ドジャースの現役最強左腕カーショーからも「素晴らしいキャリアで、素晴らしいチームメートで、素晴らしい友人だった」と信頼され、14年オフにメジャー球団から年俸20億円ともいわれるオファーを受けながら古巣復帰した男の言葉には説得力があった。

 花巻東時代からメジャー志望だった大谷は、来オフにもポスティングシステムを利用してメジャーに挑戦する可能性が高い。今季は投手として日本球界最速165キロを計測するなど10勝。打者としては22本塁打をマークし、メジャーからの注目度もこれまで以上に増している。日本シリーズで黒田と対戦した際には「ほぼ全球種を打席で見ることができた。間合いやボールの軌道が勉強になった」と声もうわずらせた。

 そんな憧れの存在からの後押しは、大谷にとっても力強い言葉となったはずだ。日米で203勝をマークしたレジェンドにとっても、若き二刀流との対決は、人生の最高の宝物となっていた。

 ☆今日本シリーズの黒田VS大谷 10月25日の第3戦(札幌ドーム)で初対決し、第1打席は初球の145キロツーシームを左翼線二塁打。第2打席は4球目の141キロカットボールを強振し、右中間へ2打席連続となる二塁打を放った。6回1死走者なしで迎えた第3打席は134キロフォークで左飛と凡退。黒田は直後に右ふくらはぎの異常を訴え、一度はマウンドに戻るも続投不可能で降板。大谷が現役最終対戦打者となった。

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2016年11月5日のニュース