イチ番の輝きに指揮官も最敬礼 サイ・ヤング腕撃ち2安打2得点

[ 2016年4月23日 05:30 ]

<マーリンズ・ナショナルズ>5回、イチローはシャーザー(左)からこの日、2本目の安打を放つ

ナ・リーグ マーリンズ5―1ナショナルズ

(4月21日 マイアミ)
 やっぱり「定イチ」がよく似合う。マーリンズのイチロー外野手(42)が21日(日本時間22日)、ナショナルズ戦に今季初めて「1番・右翼」で先発出場した。今季初の2戦連続スタメンは本人もサプライズの起用だったが、2安打1四球、2得点と大活躍。ナ軍の13年サイ・ヤング賞右腕マックス・シャーザー投手(31)を攻略する原動力となり、守備でも好プレーを連発した。

 イチローは試合後、少し笑みを浮かべつつ、独特の言い回しで語った。

 「今日は(首脳陣に)刺されましたねぇ」。これまで先発出場の際は事前に首脳陣から伝えられていた。しかもこの日はナイター翌日のデーゲーム。「この1番(起用)は全く…びっくりしました」と真顔になり「昨日聞いていなかったから。そりゃ、知っていればねぇ」と心の準備不足を嘆いてみせた。

 それでも、かつての「指定席」に就いた42歳のパフォーマンスはキレキレだった。0―1の初回。シャーザーの2球目の直球を痛烈に中前打。すると右腕はイチローの足に過敏になる。セットポジションのまま4、5秒…本塁へ投げない。あと1に迫った500盗塁を期待する本拠地のファンからはブーイング。一塁塁上でイチローがかける重圧が失投を呼ぶ。1死後、オズナの逆転3ランが飛び出した。

 2回は四球、5回は左前打で出塁。この2打席はファウルで粘り、計17球を投げさせた。イチローは5回までに2安打1四球2得点。いずれの回もチームは得点し、シャーザーを5回5失点でKOした。1番ゴードン、4番スタントンが先発から外れた試合で快勝し、ドン・マッティングリー監督は「序盤に我々が主導権を握る素晴らしい仕事。休養のスタントンらの代役を見事に果たしてくれた」とレジェンドに最敬礼した。

 右翼の守備でも見せた。右中間への飛球を2度スライディングキャッチ。2回は中堅、右翼、二塁の中間地点への浅い飛球をスタート良くダッシュした。「中途半端に(中堅が)来てくれなければ全然大丈夫ですよ」と涼しい顔。6回には打球が照明に入った右中間への飛球に対応した。攻守に助けられ今季初勝利を挙げた先発コーラーは「イチローはビンテージ(最高傑作)だ。若さを保つ泉の水でも飲んでいるのかな」と称えた。

 10試合出場で7安打、打率・389。メジャー3000安打には残り58本とした。第4の外野手の立場として出場機会が定まらない中で、まさに「ビンテージ」の味わいを感じさせた。(マイアミ・笹田 幸嗣通信員)

 ≪通算安打の84%≫イチローはメジャーで1番打者として1788試合に先発出場。これに次ぐのが7番の91試合で圧倒的に1番が多い。通算2942安打のうち、約84%にあたる2478安打を1番で記録している。オリックス時代は3番の399試合が最多で、安打も最多の560本を放っている。

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