マー君 岩隈に恩返し1勝 直球グイグイ最速151キロ「一番いい結果」

[ 2016年4月19日 05:30 ]

<ヤンキース・マリナーズ>7回3失点の力投で今季初勝利を挙げた田中

ア・リーグ ヤンキース4―3マリナーズ

(4月17日 ニューヨーク)
 楽天の元エース対決はマー君の勝ち!ヤンキース・田中将大投手(27)とマリナーズ・岩隈久志投手(34)の初対決が17日(日本時間18日)に実現。ともに7回を投げ、6安打3失点(自責2)の田中が、8安打4失点の岩隈に投げ勝ち、今季初勝利を挙げた。直球は今季最速の94マイル(約151キロ)を計測し、本来の躍動感のある投球フォームも復活。負ければ最下位転落のチームの危機を救う、これぞエースたる投球を見せた。

 米国でも大きく取り上げられた日本時代に同僚だった投手同士の初の投げ合い。ヤンキースタジアムは4万3856人の大観衆で埋まった。漢字の応援ボードや、楽天の帽子をかぶったファンの姿も見られる中、先輩に投げ勝っての今季初勝利に、試合後の田中の表情はにこやかだった。

 「岩隈さんも僕も7回まで長いイニングを投げることができた。そこは対戦前に言った通りになってよかった。チームが(4)連敗しているのも、もちろん頭にありましたし、何としても今日の試合に勝つことが自分の仕事だと思って投げた。一番いい結果になった」と、大きく息をついた。

 「(エースを)バリバリ意識していく」と宣言し、2年連続開幕投手を務めた今季。マウンド上でもエースの振る舞いを意識した。初回は1死一塁から不運な安打が2本続いて満塁。そこから二ゴロの間に先制点を許した。「嫌な流れ。でも、自分の中でいい“気”をどんどん出していけば、その不運もなくなるんじゃないかと思って切り替えた」。2死一、三塁からリンドに8球粘られたが、最後はスプリットで空振り三振に斬った。

 4回も失策絡みで失点。5回も中堅エルズベリーの判断ミスで青木の単打が三塁打となり、同点に追いつかれた。それでも気持ちだけは切らさなかった。終盤の6回に1度、7回に2度、今季最速の94マイル(約151キロ)を記録するなど球威も復活。いずれも最少失点でしのぎ、7回3失点で救援陣に後を託した。

 エースの姿は、岩隈から学んだ。楽天入団1年目の07年から5年間ともにプレー。この間、チームは計337勝しているが、2人で3分の1以上の120勝を挙げた。その岩隈が11年オフにメジャーへ移籍。「自分がマウンドに上がればエースだと意識していたけど、岩隈さんがいなくなり、自分が1番手で投げるようになって岩隈さんが背負っていたものや重圧、存在の大きさを感じた」。今季もヤ軍のエースとして各球団のエースと対じする。「そういう相手に投げ勝っていくことが、自分が1番手で投げている責任」。その言葉通り、粘り強い投球でチームの勝利を呼び込んだ。

 気温2度の中での開幕戦を含む過去2戦はツーシーム中心の配球。気温18度と穏やかな気候だったこの日は、これまで一球もなかった93マイル(約150キロ)超が10球もあった。「そりゃあ天気もよく、気持ちいい中で野球ができたら体も動きますよ」。ニューヨークの遅い春の訪れとともに、田中の季節もやってきた。(ニューヨーク・東尾 洋樹)

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