引退試合で万感3球…山本昌「初めて楽しいと思って投げられた」

[ 2016年3月6日 06:10 ]

<中・ヤ>引退セレモニーで、別れを惜しむファンを背にあいさつする山本昌

オープン戦 中日3―11ヤクルト

(3月5日 ナゴヤD)
 万感の3球三振――。昨年限りで32年間の現役生活にピリオドを打った中日・山本昌が、ラストマウンドに上がった。先頭・森岡を114キロ、109キロの直球で追い込むと、最後は「投げたかった」という107キロの宝刀スクリューだ。空振り三振。球史に残るレジェンドの雄姿を見に集まった、3万4390人の大観衆から大きな拍手を浴びた。

 「緊張した。ただ、声援を受けて、あの風景を見て、1球ストライクが入った時に“これは楽しいな”と。初めて楽しいと思って投げられた」。球団と「1日契約」を結んでの引退試合。評論家として多忙で、練習は3日間だけ。球場入りの前には現役時代と同様に、プロの世界に導いてくれた故・高木時夫スカウトの墓を参った。登板の際には涙を見せたが「マウンドに着くと乾いていた。何とか我慢した」。そして「114キロも出ていた。もうちょっとできるかな、と思った」とちゃめっ気たっぷりに話した。

 試合後のセレモニーでは岩瀬、谷繁監督らから花束を手渡され、5度胴上げされた。3万4390人の観客は「34(山本昌の背番号)サンキュー」とも読める。「奇跡的なこと。うれしい」。山本昌はそのファンに、「野球をしっかり勉強して、いつの日かまたユニホームを着て戻ってきたい」と約束。球場は再び万雷の拍手に包まれた。

 ▼ヤクルト・森岡(03~08年に中日で同僚。スクリューボールで空振り三振を喫し)めっちゃ落ちていました。昌さんにお世話になったので(最後に対戦できて)光栄です。

 ▼中日・岩瀬 感慨深いものがないと言ったらうそになる。(花束を渡した時)“頑張れ”と言われました。

 ▼山本昌の母幸子さん(引退試合を球場で観戦)私は野球は分からないけど、試合に勝ったらいつも電話をくれていたのが主人(12年に他界した巧さん)の一番の楽しみでした。主人が一番喜んでいると思います。

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