菅野 今季最速150キロ 大谷、マエケンに実力差を痛感も意識変わった

[ 2016年3月6日 06:10 ]

<日・台>菅野は3回を1安打無失点に抑える貫禄の投球

日本通運 Presents 侍ジャパン強化試合 日本5―0台湾

(3月5日 ナゴヤドーム)
 侍ジャパンは5日、台湾代表との強化試合第1戦に臨み、5―0で快勝した。世界一奪還を目指す来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)へ向けた強化の一環で、今年初めての実戦。菅野智之投手(26)が先発し、3回を1安打無失点、4三振を奪う好投を見せた。今季の実戦で初めて150キロを計測し、エースの座を狙うWBCに向けて猛アピール。自身から5投手による完封リレーにつなげた。6日は、京セラドームで第2戦が行われる。

 秘めた思いを吐露した。試合後の公式会見。小久保監督と並んだ菅野は、1年後を思い描いた。

 「17年のWBCに特別な思いがある。出たい気持ちを誰よりも持って、準備したい。戦いざまをイメージしながら目指していく」。初回2死、昨季、台湾球界初のトリプルスリーを達成した3番・林智勝(リン・ジーピン)への2球目は150キロ。今季最速を計測すると、最後は145キロで見逃し三振だ。2回には14年から2年連続本塁打王の高国輝(ガオ・グォフェ)に149キロを外角高めに投じ、空振り三振を奪った。3回2死から左中間二塁打を浴びたが、そこまでは4三振を奪う完全投球。3回1安打無失点に抑え「パワーヒッターが多いと聞いていたけど、真っすぐ主体でいこうと決めていた」と力勝負を挑んだ。

 プロ入り後、初めて参加した国際大会が昨年11月の「プレミア12」。巨人の絶対的エースの意識が変わった。「自分はチームにいればローテの中心。でも代表となれば、大谷や前田さんといった力のある投手がたくさんいた。ライバルを身近に感じることができ、高みを目指そうと思った」。先発した予選ラウンド・米国戦では4回2失点。2番手で登板したメキシコとの3位決定戦も3回1失点だった。「力のなさを感じ、情けない思いがあった」と痛感。「自分より上のピッチャーはいる」と思い知り、日本代表でも唯一無二の存在になる覚悟を決めた。

 巨人前監督で伯父でもある原辰徳氏との約束も胸に秘める。2年前の14年1月8日。母校・東海大での対談で09年の第2回WBCの優勝監督から「次の大会(17年)はエースになる覚悟でやるでしょう」と熱いメッセージを贈られた。これまでエースを張った広島の前田はドジャース移籍。来年のWBC出場も見通しは立たず、菅野は今大会を辞退した大谷、藤浪と並んで日本のエース格として期待される。小久保監督は「非常にたくましくなっている。直球の球威も増して、来年も対戦する可能性のある台湾に“菅野智之は手ごわい”という印象を与えられた」と太鼓判を押された。

 来年WBCが開催される3月は、本来ならばシーズン開幕に向けた調整期間。この強化試合はその試金石だ。世界一奪還を目指す国際舞台に合わせ、コンディションを調整できることも証明した。「侍ジャパンの初戦を任せてもらった。代表のユニホームを着させてもらっている以上、0点に抑えたかった」。侍ジャパンのエースにつながる道は名古屋から――。26歳が歩み始めた。 (神田 佑)

 ▼権藤投手コーチ(完封リレーの投手陣に)菅野が勢いのある投球をしたから、後が投げやすかった。

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