イチ ボンズコーチは「天才肌」 初めてルーティンの意図言い当てられた

[ 2016年3月6日 05:30 ]

<マーリンズ・ナショナルズ>3回、中飛に倒れるイチロー(AP)

オープン戦 マーリンズ5―4ナショナルズ

(3月4日 ジュピター)
 マーリンズのイチロー外野手(42)が4日(日本時間5日)、新任のバリー・ボンズ打撃コーチ(51)を「天才肌」と敬意を込めて評した。キャンプイン早々、自身のルーティンの意図を言い当てた歴代最多762本塁打のスラッガーの観察眼に驚嘆し、打撃理論でも共感した。オープン戦初出場となったナショナルズ戦は「2番・中堅」で先発し、2打数無安打だった。

 天才は天才を知る。試合後、新首脳陣について話題が及ぶとイチローは「あ、僕好きですね」と表情を緩めて続けた。

 「ボンズは選手の特徴をつかむのが早い。さすがじゃないですかね。天才肌ですね。凄いですよ」。今季加入したボンズ打撃コーチのことだ。「僕の特徴を彼は伝えてきましたからね。そういう表現をした人は今までにいなかった」とした。

 イチローの打撃理論は打席前に行うゴルフスイングのような素振りに端的に表れる。これは「体の開き」を防ぐためのルーティンで、左肩を後ろに残すことで胸を早く投手に正対させないよう意識付けている。ボンズコーチは「胸」ではなく「おなか」という表現で指摘したそうだが、イチローのチェックポイントを、それもキャンプ序盤にズバリ言い当てたのだ。

 常人では考えつかない打撃理論。「(普通の打者は)やりたいけど、できないことですからね。(ボンズは)ギフト(才能)って言っていましたけど、“そうだな”と。努力ではできないこと」と感覚を共感した。

 試合は左飛と中飛で、4回の守備から退いた。先頭で迎える打席はなかったが、今季からイニング間の攻守交代時間が20秒短縮され、2分5秒になったことに敏感に反応。「守備から戻ってきて時間が少ない。たとえばソックスを上げる時間とか、そういうのが省かれる可能性がある」とルーティンの変更にも言及したが、それより大きいのが理解者を得た喜びだ。

 「第三者がそれを知っているということはマイナスではないですよね。あの人だったら(できていない時に)遠慮なく言えるじゃないですか。実績がありますから」。メジャー通算3000安打に残り65本で臨むシーズン。最強コラボの化学反応は既に始まっている。(ジュピター・笹田 幸嗣通信員)

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