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時代とともに変わるメジャーリーガーの体づくり、進む高度化(下)

メジャーキャンプ用の食堂。奥にフル装備のキッチンがあり、シェフが食事を作る

 米国ではキャンプのことを「スプリングトレーニング」と呼ぶが、その歴史は古い。記録では南北戦争直後の1869年、ニューヨークの球団がニューオーリンズで行ったとある。20世紀初頭はテキサス州マーリンや、アーカンソー州ホットスプリングスなど、温泉地が好まれたという。

 最も有名なキャンプ地は「ドジャータウン」ことフロリダ州ベロビーチ。1948年から2008年(ド軍はその後、アリゾナ州のキャンプ施設に移転)まで60年に及んだ。元々は海軍の航空基地。ド軍がこの場所を選んだ理由は、当時、南部の町が依然として人種分離法下にあり、MLB初の黒人選手ジャッキー・ロビンソンらが人種差別主義者たちにひどい扱いを受けたからだった。

 そして広大な敷地に、空前絶後の野球施設が誕生した。50年代には傘下のマイナー20チーム、600~700人の選手を集めた。ドラフト制度施行前のことで、これで強くならないはずがない。55~65年まで4度の世界一に輝いている。敷地内にはゴルフコース、テニスコート、映画館まであった。ベロビーチだけが特別で、他のキャンプ地は基本的に前述のオリオールズのマイアミスタジアムと大差なかった。

 そこから著しく進化を遂げたのが近年。フロリダ州とアリゾナ州が観光客目当てに、MLB球団を誘致し、競って豪華な施設を提供したからだ。特にアリゾナ州フェニックス近郊は、90年以降、8つの球場を新築、2つの球場を改築し、MLBの半分、15球団が集まるようになった。昨年、アリゾナ州で行うオープン戦「カクタス・リーグ」の観客動員数は史上最多の190万人。ホテル、レストランなどの売り上げで経済効果は年8億ドル(約912億円)に上るという。

 レンジャーズのケビン・ハーモン・ヘッドトレーナーはハイドロセラピーのプールのおかげでリハビリが進むと目を細める。「プールには備え付けの5つのカメラがあって水中の体の動きを映し出す。足がどう動いているかとかね」。栄養士のステファニー・ヘルナンデスさんは大学で修士号をとったばかりで、8人の候補者から選ばれた。「大学ではソフトボール選手だったので、食事がパフォーマンスに与える影響は理解している。キャンプが始まって既に20選手以上が、食事のプランを立ててほしいと依頼してきた」と明かす。

 進化したキャンプ施設はここからどこに向かうのか。この世界で40年のキャリアを持つレ軍のジョン・ブレーク広報部長は「最初ビデオルームができた時は小さな物置程度の広さだったのに、今はメジャー、マイナーそれぞれに一室。アナリティック(情報分析)、バイオメカニックス(生態力学)も年々進化し、重要性が増している。球界の変化に応じて、キャンプ地も形を変えていく。私はそんな中でダイナソー(過去の遺物)だけどね」と苦笑い。「野球の体を野球で作っていた時代」もダイナソーとなりつつある。 (奥田秀樹通信員)

[ 2016年3月6日 17:15 ]

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