大谷 89キロ!遅球は凄かった ぶっつけスローカーブにどよめき

[ 2015年7月18日 05:30 ]

<全セ・全パ>初回2死、山田に超スローボールを投げる大谷

マツダオールスターゲーム2015第1戦 パ・リーグ6-8セ・リーグ

(7月17日 東京D)
 東京ドームがどよめいた。初回2死、日本ハム・大谷が投じた3番・山田への2球目はなんと超スローカーブだ。頭上を通過した1球は遅すぎて東京ドームに球速は表示されず。テレビ表示は89キロ。最後は153キロの直球で遊ゴロに仕留めた。

 「僕が(スローカーブを)狙ったというか(捕手の)嶋さんが狙って(サインを)出していた」

 2回に1死三塁からロペスに先制の中前打を打たれたが、その後の2死一塁は再び緩急で封じた。川端に対し「1球だけ狙いにいった」という直球は、この日最速の159キロを計測しファウル。続く4球目に再び94キロの超スローカーブだ。芯近くで捉えられたが、タイミングをずらした打球は三直となった。スローカーブはブルペンでも練習しておらず、ぶっつけ本番で投げた。「シーズンでは投げませんよ」。球宴限定の遅球だった。

 2回を2安打1失点。昨年はプロ野球記録の162キロを連発したが、球宴明けに投球フォームを崩した。今年は先頭・梶谷に対して首を振ってフォークで3球三振に仕留めるなど、球速よりも結果にこだわった。

 公式戦では一度も投げていない東京ドームは、大谷にとって原点の場所だ。小学2年だった02年3月。春休みを利用して、2歳上の姉・結香さんとともに横浜の祖父母の家へ。ある日、その祖父母に連れられやって来たのは、巨人―阪神の開幕戦だった。プロ野球初観戦で「3番・右翼」には高橋由がいた。今も「尊敬する打者」という巨人のスターのプレーに目を輝かせた。その場所で、今や球界を代表する21歳が大いに盛り上げた。

 同学年のライバル・藤浪がMVPを獲得。「賞金はお母さんにあげると言っていたので僕には回ってこないでしょう」と笑い、年に1度の祭典を十分に楽しんだ。1年目は二刀流、2年目は162キロ、そして両リーグ単独トップの10勝をマークして臨んだ3年目の球宴は、最大70キロの緩急差で沸かせた。これも大谷しかできない芸当だった。 (柳原 直之)

 ≪大谷球宴アラカルト≫

 ☆13年 19日の第1戦(札幌ドーム)は投手として5回に登板し、1イニングを無失点。自己最速タイの157キロをマークした。そのまま二刀流で「6番・左翼」に入って2打席に立った。20日の第2戦(神宮)では「1番・右翼」でフル出場。初回に88年立浪(中日)以来の高卒新人の球宴安打となる二塁打を放った。22日の第3戦(いわき)は8回に中前へ同点適時打で敢闘選手賞を受賞した。

 ☆14年 7月19日の第2戦(甲子園)に先発。初回に「狙っていた」と自己最速の162キロをマーク。08年クルーン(巨人)の日本最速に並んだ。投げ合った阪神・藤浪も「異次元のピッチング」。大谷は1回3安打1失点ながら球宴初勝利を挙げた。

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