虎 無敗で下克上!“因縁の地”で西岡が福留が巨人粉砕弾

[ 2014年10月19日 05:30 ]

<巨・神>CSを制し歓喜する阪神ナイン

セ・リーグCSファイナルS第4戦 巨人4-8阪神

(10月18日 東京D)
 セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(6試合制)は18日、レギュラーシーズン2位の阪神が8―4で巨人を下して4連勝、9年ぶり6度目の日本シリーズ進出を決めた。阪神は2回までにマット・マートン外野手(33)、福留孝介外野手(37)、西岡剛内野手(30)の3発で6点。今季の本塁打数はリーグ5位の94本だった阪神が、一発攻勢でリーグ王者に圧倒した。日本シリーズは25日に甲子園球場で開幕する。

 左翼席からは黄色のテープが投げ込まれ、「六甲おろし」の大合唱。まるで本拠の甲子園球場のように祝福された。

 「誇りに思いますね。巨人と2年間同じリーグで戦ってみて、本当に強いと感じた。(CSは)ぶち当たって砕けろ、という思いだった」

 西岡はそう胸を張った。2回1死二塁で右翼席に2ラン。今年は3度対戦して一度も土をつけられなかった小山をマウンドから引きずり降ろした。CSは5試合連続安打で、計27打数10安打、打率・370と爆発した。

 決して忘れられない悪夢。今季開幕3戦目、3月30日の巨人戦。2回の守備で西岡は福留と交錯、後頭部から地面に叩き付けられた。東京ドーム開場27年目で初めて救急車がグラウンドに乗り入れる緊急事態。「生きてて良かった」。そう話した西岡だったが左右の肋骨骨折などで、長いリハビリ生活を余儀なくされた。最初は車いすでの生活。あまりの激痛に処置を施した医師に八つ当たりすることまであった。

 「1年間、チームの戦いに入ってなかった。それでも必要としてくれた。何とか恩返しがしたかった」。6月27日の中日戦(甲子園)で約3カ月ぶりに1軍復帰も、背中痛で再び2軍へ。9月中旬に復帰したが出場はわずか24試合にとどまった。この日の一発は、待ちに待った今季「1号」だった。

 一方の当事者である福留も価値ある一発を放った。初回、マートンの先制3ラン。続く福留は4球目に大飛球を放ったが、ファウルになった。スタンドがどよめく一打でバットが折れたが、気持ちも道具も一新し、7球目を捉えた一打は一直線に右翼席へ吸い込まれた。2者連続本塁打を「内角の球に対してうまく反応で打てた」と振り返った。胸部の打撲から西岡より早く復帰こそしたが、一時は打率1割台に低迷。6月の阪急阪神ホールディングスの株主総会では「大リーグで使えなくなった選手を買いあさる。金でチームをつくるのはやめろ」と株主からやり玉に挙げられた。そんな2人が、因縁の地で放ったアーチ。そこには意地が詰まっていた。

 「東京ドームでスタートでああいうことがあって。でも最後、こうやって(西岡)剛も打って、お互い打って、勝てて終われたのはよかった。そういう(縁のような)何かがあったのかな」。福留はそう振り返った。

 西岡はロッテ時代の2010年、リーグ3位から日本一まで上り詰める「史上最大の下克上」を成し遂げた。下克上アゲイン。短期決戦を勝ち抜くすべを知る男が、リードオフマンとして再びチームを頂点に導く。

 ≪優勝球団以外は3チーム目≫リーグ2位の阪神が初のCS制覇を果たし05年以来9年ぶり6度目の日本シリーズ出場を決めた。シーズン勝率2位以下でプレーオフ、CSファイナルSを制したのは10年ロッテ以来5チーム目。うち04年西武、05年ロッテはPO制覇でリーグVとなったため、優勝球団以外のシリーズ出場は、07年の2位中日、10年の3位ロッテに次ぎ3チーム目。また、1位にアドバンテージがつくケースでは10年ロッテに次ぎ、セでは初の逆転劇になった。なお、ファイナルSで4連勝は(☆と★はアドバンテージ勝敗)

11年ソフトB☆○○○ 西武
12年日本ハム☆○○○ ソフトバンク
13年巨 人 ☆○○○ 広島
14年阪 神 ★○○○○巨人
と4球団目で、アドバンテージなしは阪神が初。

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