胴上げは日本一で…和田監督 退任危機一転、名将の道

[ 2014年10月19日 05:30 ]

<巨・神>CSチャンピオンに輝き、シャーレを掲げる和田監督

セ・リーグCSファイナルS第4戦 阪神8-4巨人

(10月18日 東京D)
 敵地に起こった「和田コール」。万感の思いが募った。雪辱、そして感謝の気持ち。マウンド上で歓喜の輪をつくったナインを見つめる阪神・和田監督の目は涙でにじんだ。

 「本当に選手たちが頑張ってくれた。東京ドームに来てからは“チャレンジャーとして思い切り暴れてこい”と言いました。この4戦は心からいい試合ができたと思う。シーズン中は勝負どころで勝てなくてファンの皆さんに歯がゆい思いをさせた。少しだけお返しできたような気がします」

 これまで犠打など無難な戦いが基本形だったが、今ステージでは動いた。第1戦と同様にこの日、5回に上本がエンドランを仕掛けた。得点こそならなかったが好機は広がった。能見は5回2失点で見切り、6回からは救援陣を投入。早め早めに手を打ち、巨人打線の反攻を防いだ。

 あの時、誰がこの結末を予想できただろうか。横浜遠征中だった9月23日。デーゲームでDeNAに逆転サヨナラ負けを喫した夜、横浜市内の日本料理店で極秘裏に和田監督と球団首脳の会談が行われた。2位広島とは2・5差の3位。9年ぶりのリーグ優勝だけでなく、CSの本拠地開催すらも危ぶまれていた。その席上。和田監督は覚悟を決め、口を開いた。

 「結果が出なかった場合は辞任します」

 阪神は南信男球団社長が8月下旬に早々と続投の基本方針を示した。順調なら続投を要請する運びだった9月上旬、中日、巨人相手に6連敗した。昨季と同様の終盤の失速に坂井信也オーナー側から待ったがかかったという。後任候補の人選に着手され、2005年に阪神をリーグ優勝に導いた元監督の岡田彰布氏が筆頭候補に浮上した。しかし、最後に持ち直し、CSファーストS前日の10日に続投が最終決定した。

 「負けず嫌いで反骨精神が強いタイプなのにこれまではベンチで構えてしまうことが多かった。勝利への情熱を前面に押し出していく」

 不退転の覚悟で臨んだ今季。9回に呉昇桓(オ・スンファン)が連続本塁打を浴びると、5月8日の中日戦以来、自らマウンドへ。「投げ急ぐことはない」。最後の最後まで隙を見せることはなかった。

 宿敵をスイープして日本シリーズ進出。ただ、指揮官が宙を舞うこともビールかけもなかった。

 「セ・リーグのチャンピオンチームはあくまでもジャイアンツ。我々はセ・リーグの代表として戦ってきたい。日本シリーズで選手に胴上げしてもらえるように頑張ってきます」。阪神のユニホームを着続けて30年目。ナインの手で宙を舞うのは29年ぶりの日本一になってからでも遅くはない。 

 ▼阪神・坂井信也オーナー よう頑張った。まだ日本シリーズが残っている。気を緩めんと頑張ってほしい。苦しい試合が多かったので(結果には)満足している。

 ▼阪神・南信男球団社長 この1週間、素晴らしい戦いを見せてくれた。これで終わったらあかん。まだ先がある。

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