岩貞黒星デビューも光明あった 未来のエースへ第一歩

[ 2014年8月11日 08:27 ]

<神・広>4回無死、岩貞(左から2人目)は梵の右中間三塁打でベースカバーに入る

セ・リーグ 阪神3-7広島

(8月10日 京セラD)
 この悔しさを糧にしろ! 阪神のドラフト1位・岩貞祐太投手(22)が10日、広島戦(京セラドーム)でプロ初登板初先発したものの4回5安打4失点で敗戦投手。ホロ苦いデビュー戦となった。ただ、初回に3点を失ったものの2回無死二、三塁のピンチを無失点でしのぐなど、キラリと光る要素も。今後に期待を持たせる潜在能力を見せ、未来のエースとなるべく、第一歩を記した。 

 ベンチで敗戦を見届けると、岩貞はぐっと唇を噛んだ。4回5安打4失点で降板してのプロ初黒星。「置きにいくことはなかった」と収穫を挙げながらも自己採点は100点満点の5点と厳しかった。

 「だいぶん硬くなっていた。制球が定まらず、逆球ばっかりで鶴岡さんに迷惑をかけました」

 試合前、中西投手コーチに「足がガクガク震えてます」と訴えたほどの緊張状態を表すように、プロ第1球はホームベースの手前で直球がワンバウンド。2球目を堂林に左前打されると1死二塁から丸には四球。エルドレッドを空振り三振に斬ったものの、キラにはカットボールを捉えられ中堅フェンス直撃の2点二塁打を浴び初失点。続く梵にも中前へ運ばれ、いきなり3点を失った。

 一気に崩れてもおかしくない中、ドラフト1位の意地を見せたのは2回だ。四球と二塁打で無死二、三塁も「ここで置きにいって打たれるより、腕を振った方がいい」と開き直り福井、堂林を連続三振。菊池も右飛に仕留めた。

 歴史をひもとけば「苦いデビュー戦」は飛躍への足がかりとなるはずだ。05年の能見は4回5失点、06年の岩田は3回4失点で敗戦投手に。現状、先発陣の中心を担っている両左腕も1軍デビュー戦は打ち込まれた過去がある。岩貞も大成に繋がる大きな「糧」を得たと思えばいい。

 前を向いて歩いてきた野球人生だ。宜野座キャンプ中に左肘痛を発症し、開幕を2軍で迎えても、気持ちをすぐに切り替えた。「いろいろ調べもしましたし、いろんな人に意見を聞いた」。肘の故障歴のある高宮、鶴、二神ら先輩に頭を下げて、リハビリ方法や患部のケアの仕方などを事細かく聞き頭に叩き込んだ。

 大きな故障は、中学3年時に骨盤を剥離(はくり)骨折して以来。思えば、その時も入院直後の病院のベッドで「大学まで野球を続けていい? 野球がしたい!」と訴えた。手術をしなければ、スポーツができない状況に追い込まれ、打ちひしがれてもおかしくない少年が、口にした明るい言葉に家族は驚いた。

 和田監督からは及第点を与えられ、次回登板のチャンスももらった。「何回も同じミスは繰り返せない。今回のミスを生かして投げていきたい」。前を向けば、道が開けることを知っている。岩貞祐太の真骨頂はここからだ。

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2014年8月11日のニュース