イチ シスラー超え2811安打「僕の中で一番意識する人」

[ 2014年8月11日 05:30 ]

<ヤンキース・インディアンス>5回1死、イチローは遊撃内野安打で2811安打目としジョージ・シスラーの安打数を超え48位とした

ア・リーグ ヤンキース0―3インディアンス

(8月9日 ニューヨーク)
 ヤンキースのイチロー外野手(40)は9日(日本時間10日)、インディアンス戦で1安打を放ち、通算2811安打とし、ジョージ・シスラーを抜いて歴代単独48位となった。04年にシスラーが保持していた年間最多安打記録(257本)を84年ぶりに塗り替えて以来、尊敬の念を抱き続けている伝説の選手。通算安打でも抜き去り、感慨深げに特別な思いを口にした。

 イチローらしく、内野安打で追い抜いた。5回1死、フルカウントから93マイル(約150キロ)の外角ツーシームを捉え、鋭い打球が遊撃右へ。遊撃手が送球した時に、背番号31は一塁ベースを駆け抜けていた。メジャー通算2811安打目は、特別な一本だった。

 「関わりがある、と言うのはちょっとおかしいけど。時代が違うしね。でも僕の中では一番意識する人ですから。僕にとっては大きな数字です」

 チームの零敗に明るい表情ではなかったが、素直な感情を口にした。マリナーズ時代の10年前。年間262安打という今も輝く金字塔で、「アンタッチャブル・レコード(不滅の記録)」と言われていたシスラーの記録を84年ぶりに更新した。本塁打全盛の時代に走攻守3拍子そろった選手として活躍したシスラーのプレースタイルはイチローの美学そのもので、自らと重ね合わせてきた。09年、セントルイスでのオールスター戦に出場した際には、シスラーの墓前に花をささげた。

 シスラーが15年で積み上げた数字を、イチローは14年目で抜いた。「(通算安打数上位に)ほかに誰がいるのか詳しく知らないですが、名前が出てくるのは、ストーリーがあるのはシスラーしかいない」と語り、「単独48位」という記録以上の価値を見いだしていた。安打後には14年連続2桁となる10盗塁目を決め、通算482盗塁。こちらはシスラーの375盗塁との差をさらに広げた。

 同じ試合でジーターは通算3431安打とし、歴代単独6位に浮上。「目の前で、チームメートとして見られるのは限られた人だけ」と祝福した。地元紙にトレード要員としてウエーバーにかけられたことが報じられるなど、置かれた状況は以前と違う。それでも特別な数字を超えたイチローは、感慨を隠そうとはしなかった。

 ▽04年のシスラー超え 10月1日、本拠地でのレンジャーズ戦。第1打席で左前打してシスラーに並ぶと、第2打席の中前打でシーズン258安打の新記録を樹立。直後にイチローは一塁ベンチ横の観客席へ走り、シスラーの長女フランシスさんら親族5人(他に孫4人)と言葉を交わした。同年10月末には伝記「ザ・シスラー」が全米で出版された。当初は「忘れ去られた偉大な選手」というタイトルだったが、イチローがシスラーの偉業に再びスポットライトを当てたことで、改題された。

続きを表示

2014年8月11日のニュース