能見 セ新5試合連続2桁Kも「何とも思わないです」

[ 2014年6月15日 05:30 ]

<西・神>6回2死一塁、木村からこの試合10三振目を奪う阪神・能見

交流戦 阪神2―3西武

(6月14日 コボスタ宮城)
 阪神は14日の西武戦、鳥谷の適時打で初回に先制するも、2-3で逆転負けした。先発した能見篤史投手(35)は6回被安打5の3失点で今季5敗目(5勝)を喫したものの、セ・リーグ新記録となる5試合連続2桁の10奪三振をマーク。エースの快挙も実らず、チームはまたもカード初戦を落とし、貯金は再び「1」となった。

 歴史の扉をこじ開けた瞬間も、表情は一切崩れなかった。エースとして常にチームの勝敗を背負う男だからこそ、喫した敗戦が、全てを帳消しにした。

 「記録のためにやってるわけじゃないんでね。何とも思わないです」

 6回2死一塁、132キロのフォークで木村に空を切らせ、この日10三振目を奪った。5月16日のDeNA戦(甲子園)から5試合連続2桁奪三振をマークし、セ・リーグ新記録を樹立した。

 4回まで4個と順調に積み重ね、5回には炭谷、菊池、秋山を3者連続三振に斬り一気にペースを上げた。

 通算172個で最多奪三振のタイトルを獲得した12年の奪三振率は「8・51」。今季はそれを上回るペースの「9・65」。1イニングで1個以上を奪っている計算になる。

 ただ、エースがこだわりを見せるのは三振という「結果」よりもその「過程」にある。

 「(決め球を投げるまでに)真っすぐでファウルを打たせるのが理想。空振りよりもファウル。打者が真っすぐに合わせてファウルになる、そこでチェンジアップ、フォークならタイミングを外せる」

 ウイニングショットとして投じるフォークやスライダーよりも、キャンプ中からこだわりを持って黙々と投げ込んできた直球で、いかに打者を圧倒し、三振を奪うまでの下地をつくるか。すべての「K」には理由がある-。それがエースの信念だ。

 虎が誇る“ドクターK”が、西武ドームのマウンドで刻んだ光輝く勲章。しかし、白星で華を添えることはできなかった。

 「点を取ってもらった後だったのでね…」

 マートンの8号ソロで同点に追い付いた6回。先頭の渡辺の中前打と自身の暴投で1死二塁とされた。「迷いなく勝負にいった」と振り返った中村に127キロスライダーを中前にはじき返され勝ち越し点を献上してしまった。「勝負どころで粘りたかったが、粘り切れなかった」。7回の打席で代打を送られ、6回83球で降板。「(代打は)負けてるんでね」と不完全燃焼の思いは、ぐっと胸にしまいこんだ。

 交流戦最終登板となる21日からの楽天戦で91年に野茂(近鉄)がマークしたプロ野球記録の「6試合連続」へ挑戦する。チームを勝利導いた時に初めて、偉業は能見の中で光輝く。 

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