阪神、延長劇勝も…没収試合の可能性あった6日中日戦

[ 2014年5月13日 07:30 ]

延長12回のマウンドに上がった阪神・呉昇桓

 劇的な1勝の裏に「かけ」があった。阪神は6日の中日戦(ナゴヤドーム)で延長12回の末、6―3で勝利。ベンチ入りの25選手全員を使い切った一戦だったが、実は没収試合となるリスクもあった。真相に迫った。

 延長12回、3―3から3点を勝ち越すと、その裏のマウンドに呉昇桓が上がった。この時点で全員が出場。ベンチに残る投手、野手は「0」になった。呉昇桓が難なく3者凡退で締めくくった裏で、阪神ベンチはあるリスクを背負っていた。

 中西投手コーチ (11回2死から)高宮を使った時点で(和田監督らに)「ピッチャーいなくなりますよ」と伝えた。野手を1人残してくれると思っていたからな。呉が退場になれば没収試合になるということは当然分かっていたけど、呉は死球を当てるようなタイプじゃないし、信頼して送り出したよ。それよりもケガが一番怖かったな。

 阪神の劇的勝利で終わった一戦だったが、12回裏は実は綱渡りのイニングでもあった。誰かが負傷交代、あるいは呉昇桓が危険球退場となる可能性もゼロではなかった。仮に、そうなった場合は没収試合…。個人の記録は残っても、試合は「9―0」で中日の勝利となるところだったのだ。

 和田監督 当然、あとのことは考えて送り出している。点差(3点)もあったからね。1点差だったら攻め方も変わってくるけど。

 指揮官のコメントにもあるように、「没収試合」の危険性は誰もが認識していた。12回は呉昇桓と清水のバッテリー。12球のうち内角攻めは、わずか2球だった。

 呉昇桓 危険球は分かっていた。内角はそこまで意識していない。なぜなら頭に当てたこともないからね。

 清水 打者との力関係から言っても、内角をそこまで使わなくても抑える自信があった。危険球のことも分かっていましたし。

 3点のリードがあったことで、外角球に偏る配球でも、まだまだ余裕はあった。何より、リスクを承知で呉昇桓を投入できたのも、信頼の証だろう。ちなみに、呉昇桓は11日を終えた時点で打者56人に対して与死球は1だ。

 ▽没収試合 公認野球規則では「フォーフィッテッドゲーム」(没収試合)として定義されており、放棄試合とも呼ばれる。規則違反のために球審が試合終了を宣告して、9―0で過失のないチームに勝ちを与える試合。規則違反とは大まかに分けて(1)試合放棄、(2)悪質な遅延や時間短縮行為、(3)反則行為の繰り返し、(4)退場の拒否、(5)主催球団が試合の秩序を保てず、試合開始や再開が不可能となった場合、(6)9人の選手が揃わなくなった場合など(今回の阪神は(6)の可能性があった)。各種記録はゲームスコアが9―0となる以外、原則そのまま残る。

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