イチロー4安打で“連敗地獄”「17」で脱出

[ 2011年7月29日 06:00 ]

<ヤンキース・マリナーズ>連敗を17で止め、ナインと笑顔でタッチを交わすイチロー

ア・リーグ マリナーズ9―2ヤンキース

(7月27日 ニューヨーク)
 マリナーズのイチロー外野手(37)が27日(日本時間28日)、ヤンキース戦で4安打、2得点2盗塁の活躍でチームをけん引し、球団ワースト記録を更新していた連敗を17で止めた。マ軍の勝利は5日(同6日)以来、実に22日ぶり。またイチローにとっても、1試合4安打は4月19日のタイガース戦以来、今季2度目となった。11年連続シーズン200安打まで残り58試合で83本とし、厳しい状況ながらも希望をつないだ。
【試合結果】

 長かった。重苦しかった。22日ぶりに手にした白星。「ようやくやっかいな問題が解決したぜ!」。エリク・ウェッジ監督の言葉にナインが沸く。時を同じくして、クラブハウス内のテレビでは全米ネット局が「マリナーズの連敗、17で止まる」のテロップを流した。

 「千葉ロッテの18連敗がちらついていましたからね。そのことばかり考えてました。あの時の相手は僕らでしたから。13年後にそっち側にいるとは思わなかったですね」

 イチローが白い歯を見せたのは、本当に久しぶりだ。98年にロッテがプロ野球ワースト記録の18連敗を喫した時の相手がオリックスだった。同戦ではイチローが決勝本塁打。それが海を渡って、17連敗を経験するなど想像しなかっただろう。

 「面白いと思うのが、究極の下になると注目されるってこと。一番上と一番下には共通点があるという例だと思います」。もっとも連敗ストップでマイナスの注目度が減ることになるが、「寂しくないですよ」と冗談交じりに話した。

 先制、中押し、ダメ押し全てに絡んだ。3回は左前打で出塁、二盗を成功させた後に先制のホームイン。5回も左前打に三盗、7回は1死からの中越え二塁打で5得点の起点となった。8回に4打席連続安打となる中前打。メジャー通算45度目の1試合4安打以上はイバン・ロドリゲス(ナショナルズ)を抜いて、現役単独トップとなった。

 「展開で言えばギリギリで勝ったわけではないですから、(連敗脱出に)特別な思いが生まれてきたわけではない。(4安打も)追い詰められれば難しくなるし、反対であれば、そういう結果につながりやすい」。イチロー自身は淡々と振り返ったが、チーム最年長37歳のリードオフマンがチームを引っ張ったことは確固たる事実。ウェッジ監督は「イチローにとって今季最高の試合」と最大級の賛辞を送った。

 連敗期間中、チームは移動の列車を貸し切りにしたり、指揮官が口ひげをそり落としたりした。その中、イチローもひっそりと験担ぎをしていた。クラブハウスに来る時間や出入り口を日によって変えた。また、昨年まで移動日以外は100%ジーンズで球場入りしていた中で、スエット素材のパンツをはいたりもした。「11年間、(自分だけで験担ぎは)毎日やってますよ」と照れた。

 ようやくトンネルは抜けた。ただ、わずかな光が差し込んだだけ。残り58試合。チームにとってもイチローにとっても、ここからが真価が問われる戦いだ。

 ▽ロッテの18連敗 前日にプロ野球ワーストとなる17連敗を喫して迎えた一戦は初回、ロッテ先発・薮田がオリックス3番のイチローに先制の6号ソロを左翼ポール際に被弾。その後も追加点を許し、4―6で敗れた。勝利打点を含む2安打2打点と活躍したイチローは、ロッテの連敗について「僕たちが言えることではない」と口をつぐんだ。翌日にロッテがオリックスに勝ち、連敗は18でストップ。18連敗は現在もプロ野球記録。

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