岩崎、16年ぶり奪三振ゼロでプロ初完封!

[ 2011年7月29日 06:00 ]

<ソ・楽>プロ初完封に、松田(左)と喜ぶ岩崎

パ・リーグ ソフトバンク2―0楽天

(7月28日 ヤフーD)
 奪三振はゼロ。でも取れなかったのではなく、取らなかった。プロ初完封で4勝目を挙げたソフトバンクの4年目右腕・岩崎翔投手(21)は市船橋時代は150キロを超す速球派として注目されたが、この日は勝負球にツーシームを選択した。その結果が、95年7月4日の日本ハム・グロス以来となる16年ぶりの奪三振ゼロでの完封勝利。チームは再び単独首位に浮上した。

 アウトの取り方は山ほどある。それに気づいた右腕は大きく成長した。象徴的な場面は4回。無死一塁で高須を迎えた岩崎は今季、投げ始めたツーシームを続けた。初球131キロは内角低めに外れたものの、2球目も内角への136キロ。右方向へ意識のあった好打者・高須は食い込んできた球をさばけず、二ゴロ併殺と網に引っかかった。

 5回も7回も先頭打者の出塁を許し、ツーシームで併殺打に仕留めた。本来、150キロを超える直球を持っているが、あえて動くボールを選択した。「まだ、10球同じ場所へ投げろと言われれば、投げられません。ただ自分には三振を取るボールはない。しっかりゴロを打たせようと思いました」。この試合、111球を投じたが、奪った空振りは3つ。最速は143キロだ。ツーシームを主体として打たせた内野ゴロは17個にも上った。

 転機は、昨年12月に参加したプエルトリコのウインター・リーグ。所属チームのコーチにツーシームを教わった。「こんなボールが有効だぞ、と言われ、投げたらダブルプレーが多く取れた」。高卒1年目の08年から先発起用された岩崎はそれまで球威で抑えるものの、5回を過ぎるとつかまっていた。打開するカギは異国の地にあった。メジャーリーガーの卵と戦い抜いた経験が生きた。「芯に当てさせないことが大切だと分かったんじゃないかな」と高山投手コーチも目を細めた。

 「本当は三振を取れる投手になりたい」。ただプロ3年間の失敗を糧に4年目の飛躍をつかんだ右腕は、自らの歩くべき道を見つけたようだ。

 ≪チーム今季6人目の完封≫岩崎が奪三振0でプロ初完封。奪三振0の完封勝利は、95年7月4日西武戦のグロス(日)以来。ソフトバンクでは南海時代の71年9月22日近鉄戦の西岡三四郎以来40年ぶりだ。また、チームでは杉内、ホールトンの各2を筆頭に今季6人目の完封。ホークスで年間6人以上が完封は、92年に吉田豊彦(3完封)ら6人が記録して以来のこと。一方、楽天は08年9月19日ロッテ戦(△1―1、5回コールド)、09年6月13日横浜戦(○4―0)に次ぐ3度目の無三振で初の敗戦。

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