東海大相模33年ぶり!一二三“夏こそ主役”

[ 2010年7月31日 06:00 ]

<東海大相模・横浜>33年ぶり夏切符!グラブを突き上げ歓喜の東海大相模・一二三(中央)

 【神奈川決勝・東海大相模9―3横浜】33年ぶりの夢舞台だ!第92回全国高校野球選手権大会(8月7日開幕、甲子園)の地方大会は30日、4大会で決勝戦が行われ、神奈川大会では東海大相模のエース一二三(ひふみ)慎太投手(3年)が横浜を相手に3失点で完投勝利。チームを33年ぶり8度目の出場に導いた。口蹄疫問題で揺れた宮崎大会では延岡学園が4年ぶりの出場。1日に予定されている大阪大会の決勝で、全49代表が出そろう。

【神奈川大会結果
30日の試合結果


 その目に涙が光っていた。6点リードの9回2死三塁。一二三が139キロ直球で最後の打者を一ゴロに打ち取った。名字には2球足りない121球の熱投で、33年ぶりに夏の扉をこじ開けた。重圧から解放されて両手を突き上げる。そんなエースを、マウンドに殺到したナインが包み込んだ。
 「本当にうれしい。最後は直球と決めていた。フォームを変えて、いろいろな人に支えられて…。また甲子園を決められてうれしい」
 初回、0ストライク3ボールが3度と制球に苦しんだ。1死一、三塁から三ゴロの間に1点を失ったが、最少失点で切り抜けてリズムに乗る。最速150キロを誇る直球は142キロ止まり。それでも右打者の懐をシュート気味にえぐって15個の内野ゴロを奪った。9回4安打3失点。6回に味方の失策も絡んで2点を失ったが、顔色を変えずエースらしく投げ続けた。
 3月のセンバツ直前にフォームを崩し、これまで経験したことのない制球難に陥った。大会No・1右腕と注目されながら、1回戦で自由ケ丘(福岡)に2―4で逆転負け。「スピードは出るのに制球が定まらなかった。夜も悩んだ」。打ち砕かれたプライド。周囲の助言を受け、5月下旬にサイド転向を決断した。
 試行錯誤。そんな中で6月、門馬監督から携帯に1通のメールが届いた。指揮官が選手に送った初めてのメール。「おまえを信じている」。短いながらも信念のこもった言葉に「僕が投げて甲子園に連れて行きます」と返した。以心伝心。それで十分だった。胴上げで7度宙を舞った指揮官は「周囲にいろいろ言われ、アイツが一番苦しかったと思う。でも、あれ(メール)で揺らぎがなくなった」と振り返った。
 夏の大会から遠ざかっていた間に、春のセンバツには6度出場。00年には全国制覇も果たした。33年ぶりの夏へ、一二三は「(今春の)忘れ物を取りに行きます。直球で真っ向勝負で攻めたい。甲子園で暴れてきます」。生まれ変わったエースが、サイドからの剛速球で夏の主役になる。

 ◆一二三 慎太(ひふみ・しんた)1992年(平4)9月29日、大阪府生まれの17歳。美木多中3年夏にボーイズリーグのジュニアホークスのエースとしてジャイアンツカップ優勝。表彰式で巨人・原監督と初対面した。東海大相模1年夏からベンチ入りし、昨秋から背番号1。遠投110メートル。握力は両手ともに65キロ。家族は両親。1メートル85、84キロ。右投げ右打ち。

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