延岡学園 口蹄疫“非常事態”乗り越え聖地へ

[ 2010年7月31日 06:00 ]

<延岡学園・宮崎一>6年ぶり4度目の優勝を決め歓喜に沸く延岡学園ナイン

 【宮崎決勝・延岡学園6―2宮崎一】大勢のファンで埋まった内野スタンド。大きな歓声と拍手が、マウンド付近にできた歓喜の輪を包み込んだ。「口蹄疫で大変な中で甲子園に行かせていただける。皆さんに元気を与えられるよう、頑張ってきたい」。目を潤ませながらそう話した重本監督の言葉に、宮崎の代表としての責任感がにじんだ。

 今夏最多の14安打の爆発を、2年生主砲の4番・浜田がけん引した。1点リードの3回2死一塁で左翼線二塁打。5回に右前打、7回には1死三塁で再び適時二塁打を右翼線へ運んだ。9回には左中間三塁打と、あと一歩でサイクルの4安打2打点。「ストライクの球は全部打とうと思った」との言葉通りに右へ左へと打ちまくった。
 口蹄疫の感染拡大防止のため、県内の学校は5月下旬からの県選手権など対外試合を全面自粛。感染地域を外れた延岡市でも、夏への調整は紅白戦だけ。だがそれが幸いした。黒木義美前監督が今年3月退任し、28歳の重本監督は4月に就任したばかり。それが週5回をこなした紅白戦と6月に張った3週間の合宿のおかげで、指揮官と選手の相互理解がより深まった。「監督とコミュニケーションが取れて逆に良かった」と浜田。準々決勝まで続いた無観客試合も、エース坂元は「雰囲気にのまれず集中できた」とプラスに働いた。
 非常事態宣言は27日に解けたとはいえ、宮崎の復興はこれから。主将の押川は「口蹄疫で苦しんだ方々に希望と感動を与えられるよう、全員で頑張ってきたい」。聖地で目指す78年夏以来の1勝が、故郷の勇気と元気になる。

 ▼延岡学園 バスケットボールは強豪。元ロッテの黒木氏がOB。

 ◆口蹄疫と今夏の宮崎大会 県高野連は今月1日、口蹄疫問題を受けて開幕日を当初の10日から16日に延期することを決定した。県内では5月下旬からすべての学校が対外試合を自粛し、開会式も中止。また「口蹄疫の感染拡大の阻止を優先する」ため、野球部員や保護者ら以外は入場できない「無観客試合」での開催となった。県が発生地域の住民に外出自粛を求める非常事態宣言を解除した27日、準決勝から入場が解禁された。

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2010年7月31日のニュース