21世紀枠の川島 ハンディを乗り越えてきた18人

[ 2010年3月3日 15:45 ]

練習でタイヤを押す川島ナイン

 吉野川流域ののどかな町から、たった18人の野球部が大舞台に挑む。

 21世紀枠でセンバツ野球大会に選出された川島(徳島)の藤畠主将は「入学した時は甲子園なんて現実味がなかった」と振り返る。毎日補習があり、そろって練習できるのは午後5時から約2時間半。部員が少ないため紅白戦もできない。
 2006年から中高一貫校となり、グラウンドはサッカー部、ソフトボール部に加え中学のサッカー部、野球部も共用。打撃練習はバックネットに向かって行い、外野の守備練習は落下点を一定にするため、打撃マシンを上に向けて飛球を上げる。
 昨夏の徳島大会では初戦敗退。07年4月から母校を率いる北谷監督は新チームに「まず“人間力”を身につけよう」と呼び掛け、あいさつや生活態度から改め、内面を鍛えることを徹底した。
 鳴門工の部長、副部長として5度の甲子園を経験した同監督は「自分たちの力を発揮したら(強豪と力は)あまりかわらんよ」とも話し、自信を植え付けた。粘り強く、勝ちに執着するようになったチームは秋季徳島大会で3位に食い込み、四国大会8強に進出した。
 18人のうち1人は家庭の事情で平日の練習には出られず、1人は骨折で出場は厳しい。多くのハンディを乗り越えてきた藤畠主将は「自分たちの野球ができれば。欲を言えば初戦突破したい」と、言葉は控えめながら強い口調で夢の舞台へ思いをはせた。

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2010年3月3日のニュース