レンジャーズ 菊池獲りへ現役メジャー腕同席

[ 2009年10月20日 06:00 ]

テキサス・レンジャーズのコルボーン環太平洋部長(左)に連れられて現役投手のデレク・ホランドが石川遼のパネルを持って花巻東高を訪れる

 花巻東・菊池雄星投手(18)は19日、メジャー8球団との面談をスタート。155キロ左腕獲得に全力を挙げるレンジャーズは、現役メジャーリーガーのデレク・ホランド投手(23)を同席させる前代未聞の作戦に出た。将来のエースと期待される同じ左腕の“生の声”に菊池も興味津々だったという。一方、メジャーを選択した場合、本命視されるドジャースも好感触を強調。20日には残り4球団の面談が行われる。

 3番目に登場したレンジャーズがあっと驚く“隠し玉”を用意していた。午後5時20分。コルボーン環太平洋スカウト部長、ブレーラー野球事業部部長とともに1人の青年が学校へと入っていた。30分の面談後、その正体が明らかになった。

 「(菊池は)ホランドと楽しそうに話していたよ」。満足そうな表情で出てきたコルボーン部長が言った。面談に同席したのは、今季レンジャーズでメジャーデビューし、いきなり8勝をマークした期待の新星左腕。この日のために、米国から空路10時間以上をかけて来日。「メジャーのことについていろいろ聞きたい」と話していた菊池に、これ以上ない適任と言える現役メジャーリーガーを連れてきたのだ。

 「体が大きく才能ある選手と聞いていた」というホランドは、オフにもかかわらず球団の要請に協力。面談後は「私はメジャーはどういうところかを話すために来た。メジャーの競争は激しいが闘争心もありそうなので問題ないだろう」と話した。

 レ軍は、通算5714奪三振の大リーグ記録を持つノーラン・ライアン球団社長の大号令の下、155キロ左腕の争奪戦に参戦。菊池側が進路を決める上で育成システムを重視していることを知り、仰天作戦に出た。菊池と同じ左腕のホランドはチーム生え抜き。06年ドラフトの25巡目指名で入団時は高い評価を受けていたわけではない。しかし、レ軍のマイナー組織で急速に力をつけ、昨季の1Aスタートから今季はメジャーのローテーション投手にまで成長した。今や将来のエース候補で、いわばレ軍の“育成の星”。面談中には通訳を交え、2人で談笑する場面もあったという。

 菊池のハートをつかむ秘策はこれだけではなかった。コルボーン部長は「菊池によろしく」というライアン球団社長のメッセージを伝え、さらに同じ10代で世界の舞台に挑んでいるプロゴルファー・石川遼(18)がプリントされた大型パネルを持ち込む演出も行った。「プレゼンテーションに熱意を込めた。彼は直球、変化球も素晴らしい。そして強いハート。アメリカではそういうことが大事だから」と、同部長はあらためて菊池獲得への本気度を示した。

 菊池は20日に大リーグ残りの4球団と面談し、早ければ21日にも決断を下す。果たしてレ軍の必死のアピールは18歳の左腕に届くのか。

 ◆デレク・ホランド 1986年10月9日、米オハイオ州生まれの23歳。06年ドラフト25巡目でレンジャーズに入団。昨年は1Aで10勝1敗、2Aで3勝0敗。今季は3Aスタートも、4月22日のブルージェイズ戦でメジャーデビュー。5月27日ヤンキース戦では松井に日米通算450号を被弾。9月13日マリナーズ戦ではイチローに大リーグ史上初の9年連続200安打となる遊撃内野安打を打たれた。33試合で8勝13敗、防御率6・12。1メートル88、84キロ。左投げ両打ち。

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