今村完封!歴史刻んだ!清峰、長崎に初大旗

[ 2009年4月3日 06:00 ]

<花巻東・清峰>優勝を決めマウンド上で喜びを爆発させる今村(中央)ら清峰ナイン

 【清峰1―0花巻東】松坂超えで悲願の初Vだ。第81回「センバツ高校野球」第12日は2日、甲子園球場で決勝を行い、清峰(長崎)が花巻東(岩手)に1―0で勝ち、初優勝した。清峰は、エースの今村猛投手(3年)が要所を抑える快投で7安打完封。7回に挙げた1点を守り切り、花巻東・菊池雄星投手(3年)との“剛腕対決”を制した。長崎県勢の優勝は春夏通じて初。佐世保市近郊の小さな町の公立校が3年前の決勝で大敗した屈辱を晴らした。

【試合結果


 新しい歴史を刻むまであと1人。1点リードの9回2死一、二塁で、今村が最後に選んだのはカットボールだった。佐々木大を左飛に抑えると右腕を空に向かって突き上げた。甲子園で長崎県初めての頂点だ。そのときいつものポーカーフェースが崩れ、初めて心の底からエースが笑った。
 「やっと終わった。きつかった。菊池君はストレート、変化球のバランスが良く、凄くいいピッチャーだった」
 左右のNo・1投手が決勝の大舞台で巡り合った奇跡。菊池に投げ勝って栄冠をつかんだ。連投の疲れで123球のうち140キロ以上は10球だけ。切れもなく、奪った三振は5個だった。「腕が振れなかった」。バックを信じて打たせて取り、7安打完封。センバツ決勝では25年ぶりとなる1―0の完封劇だ。
 完封は3度目で5試合で44回1失点、47三振で防御率0・20の抜群の安定感を発揮した。センバツで決勝を含め3完封したのは98年春の横浜高・松坂(現レッドソックス)以来。松坂は全5試合に完投し、45回を投げて43奪三振の4失点。今村は“世界のエース”の数字をも上回った。
 絶妙なペース配分で132個のアウトを積み上げた。ピンチになると隠していた、キバをむく。捕手の川本は「走者を背負うとギアが入る」とミットで感じ、吉田監督は「球速が10キロ上がる」とその凄さを語る。マウンドでは常に冷静沈着で、勝負どころで力を出した。
 転機は昨秋の九州大会だった。センバツ出場がかかった準々決勝で福岡大大濠(福岡)にサヨナラ勝ちし、吉田監督と一緒にロッカー室で大泣きした。仲間への信頼から生まれた投球術。そこから全国の頂点まで駆け上がった。
 今村の挑戦はまだ終わらない。試合後、号泣する菊池に「また夏に試合しよう」と声をかけた。夏もライバルたちを倒してみせる。小さな町を代表して頂点に立ったエースは「いっぱい練習して、もっと強くなって」と言った。これから描く成長の軌跡は春夏連覇の目標に続く。

続きを表示

2009年4月3日のニュース