「もう近い」イチロー大記録へあと2

[ 2008年7月29日 06:00 ]

<ブルージェイズ・マリナーズ>2本の安打を放ち、3000本射程圏内!イチローの鋭い眼差しが光った

 【マリナーズ5―1ブルージェイズ】大記録の瞬間はすぐそこだ。マリナーズのイチロー外野手(34)が27日(日本時間28日)、トロントでのブルージェイズ戦で4打数2安打。6月2日以来今季4本目の三塁打も飛び出し、日米通算3000安打にあと2本に迫った。28日(同29日)からは場所をテキサスに移し、ライバルと認めるマイケル・ヤング内野手(31)が所属するレンジャーズとの4連戦。プロ人生17年目を迎えた天才打者が日本人2人目の偉業に挑む。

 言葉には力がみなぎっていた。日米通算3000安打まであと2本。5本に迫った時点では「近くない」と話したイチローが、試合終了後ロッカー前のいすに腰をかけると「もう、近いよ」とはっきり言い切った。
 苦しい状況を打破した。野手の正面を突く打球も多く、最近5試合は22打数3安打。前日の最終打席に放った中前打は実に15打席ぶりの安打と、運からも見放されていた。しかし、この日は3回の右前打で通算2997安打目を放つと、先頭で迎えた9回はフレーザーの92マイル(約148キロ)外角直球をこん身の力で引っ張り右翼線三塁打。ジャンプした一塁手のグラブをかすめる会心の打球に「3000に向かってんだから逆風と感じる必要はまったくない」と確信を深めた。
 そして舞台はレンジャーズの本拠地テキサス州アーリントンへと移る。相手には右打者ながら5年連続200安打を継続中のヤングがいる。05年には首位打者と最多安打争いを制し、敗れたイチローに「僕が意識する数少ない選手」と言わしめた存在。そのヤングも日米通算3000安打に注目している。「ライバルと言われるのはうれしいし、自分も同じ思い。彼は驚くほど波が少ない選手。お手本になるから同リーグでプレーできるのはありがたい。(記録は)刺激になる」。公式戦や04年からともに選ばれ続けている球宴でも野球観を語り合うことも多い2人。運命のいたずらか、好敵手の目前で背番号51は大きな勲章を手にしようとしている。
 チームの連敗も7で止まり、重苦しいムードは消えた。3085本の日本記録を持つ張本勲氏(本紙評論家)以来の大台にあと2本。だが、イチローは言う。「やろうとしていることは間違いない。でも、それ(予感)には頼れない」。今季マルチ安打を35度記録している天才打者はあくまでも自然体で大記録を通過していく。

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2008年7月29日のニュース