痛くても稲葉 北京へ全力全開

[ 2008年7月29日 06:00 ]

<ソフトバンク・日本ハム>ソフトバンクに勝利し笑顔でナインを出迎える稲葉(左)

 【日本ハム10―2ソフトバンク】日本ハムは28日、右臀(でん)部痛を抱える稲葉篤紀外野手(35)が2安打2打点と活躍するなど、打線が14安打で5月24日・中日戦以来となる10得点をマーク。ソフトバンクに快勝し、3位陥落からわずか1日で2位に再浮上した。北京五輪に出場するため、稲葉は29日の試合でチームから一時離脱するが、最後の力を振り絞って、右翼の定位置につくつもりだ。

 日本ハム・稲葉の激走に誰もが発奮した。初回だ。1点を先制し、なおも1死二塁で主砲が放った打球は中前へポトリと落ちた。貴重な2点目を叩き出すと、続く小谷野の右中間二塁打で一塁から一気に生還した。
 「走りだせば走れるんだけれどもね。ただ止まったり、ステップしたりするのがちょっとね。でも状態は良くなっている」。5月から痛めている右臀(でん)部の状態は万全でない。西武戦をスタメンから外れた26日朝はトイレに行くことすらできなかった。それでも8回1死一塁から代打で右前打を放つ意地を見せた。
 翌27日からDHでスタメン復帰し、13号ソロを放つなどチームの全打点をマーク。この日は2日連続の4番・DHで出場し、3回の右翼線適時打を含め、2安打2打点と結果を残した。コンディションは最悪でも、ヒットを重ねる技術は、昨季の首位打者のタイトルで証明済みだ。
 札幌市内の自宅には、星野監督から贈られてきた手紙が飾られている。それほど北京五輪への想いは強い。ただ余力を残すつもりはない。「あしたは守備につきたいと思っている」と満身創痍(い)の体に、あえて自らムチを打つ覚悟だ。
 梨田監督も稲葉の心意気を承知している。「技術、集中力を含め、感心しすぎて口をポカーンとあけるしかないよ。本当ならば万全な状態で五輪に送り出してやりたいが…」。ムードメーカーの森本も「稲葉さんがいるとチームの雰囲気が違う。痛くても出てください」と強行出場を陳情するほどだ。
 打線は65日ぶりの2ケタ10得点で快勝し、1日で2位に再浮上。「(前半戦を)勝って終わるのが一番いい」
 35歳のベテランは、前半戦最後の一戦も背中で引っ張っていく。

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2008年7月29日のニュース