虎新人の「1―0」サヨナラ打は77年ぶり!ドラ1・森下が甲子園初安打が決めた 逆手に取り初球狙い奏功

[ 2023年5月21日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神1-0広島 ( 2023年5月20日    甲子園 )

5月20日の広島戦で、9回にサヨナラ打を放ち歓喜の森下(右)(撮影・大森 寛明)
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 77年ぶりの一撃!阪神のドラフト1位ルーキー、森下翔太外野手(22)が20日の広島戦に「6番・右翼」で4月16日以来約1カ月ぶりにスタメン出場し、プロ初のサヨナラ安打を放った。0―0の9回2死一、二塁から広島・森下の直球を捉え、歓喜の瞬間を迎えた。球団新人の「1―0」サヨナラ安打は、実に1946年の富樫淳以来77年ぶりの快挙となった。さらに甲子園初安打が劇打となったのも、2リーグ制以降では球団初。ドラ1新人の歴史的な一振りでチームは再び貯金を10に戻し、首位を堅持した。

 0―0の9回2死一、二塁。そこまで3打席凡退の森下は、初球を狙っていた。広島・森下の147キロ直球を捉えて左前へ。一塁へ走りながら、その視線はボールの行方を追い続けていた。二走・大山が生還の瞬間、右拳を突き上げた。

 「悔しい思いをずっとして、なんとかこの甲子園の舞台で打ってやろうと思っていた」

 今季最多4万2598人が詰めかけた甲子園。本拠地で臨んだ初のお立ち台では虎党の歓声を一身に浴び「最高です!」と絶叫し、「正直、泣きそうで…ありがとうございます!」と興奮も隠さなかった。ただ、それは試合後の話。同じく大声援を背に臨んだサヨナラの場面では、体は熱く、頭は冷静だった。

 「捕手からしても、初球を振ってこないから(ストライクを)簡単に取れるだろうと思っているところ。そこは振りにいこうと」

 そこまでの3打席では持ち前の積極性が鳴りを潜め、すべて第1ストライクを見逃していた。それを逆手に取って初球に狙いを定め、無心で振り抜いた。

 開幕から華々しくデビューも、4月4日広島戦(マツダ)の第4打席以降20打席連続無安打と壁にぶつかった。同17日に2軍降格。「芯で捉えられるように。ミスショットしないのが課題だった」。2軍では、すり足だったタイミングの取り方を少し左足を上げるフォームに変更するなど試行錯誤を繰り返した。そしてウエスタン・リーグ19試合で打率・300、2本塁打、12打点と結果を残し、1軍へ返り咲いた。直球に合っていなかったこの日は3打席目に一時的に従来のすり足に戻したが、最後の最後に「修正して足を上げて」芯で捉えてみせた。

 球団新人が「1―0」のサヨナラ安打を放ったのは、77年ぶりの快挙。甲子園初安打を劇打としたのも、2リーグ制以降初だ。だが背番号1にとっては、歴史的一撃も通過点に過ぎない。「ここからだなと。長く1軍に居続けて、“6番”は今、固定できていないと思うので、そこの座に居られるように」。再び、飛躍へのスタートラインに立った。(石崎 祥平)

【データ】
 ○…森下(神)が9回、プロ初のサヨナラ左安打。新人の1―0サヨナラ安打は、昨年9月25日DeNA戦の丸山和(ヤ)以来。阪神では1リーグ時代の46年5月23日、セネタース戦で富樫淳が打って以来77年ぶり。
 ○…阪神新人のサヨナラ打は19年7月20日ヤクルト戦9回、近本の犠飛以来4年ぶり。サヨナラ安打は18年10月6日DeNA戦延長10回、島田の右安打以来5年ぶり、2リーグ制以降9人目で10度目。このうち甲子園初打点は01年5月4日の赤星憲広、18年島田(プロ初打点)に続く3人目だが、初安打で決めたのは森下だけ。
 ○…森下がサヨナラ打を打った相手は広島の森下。新人に限らず同姓投手からサヨナラ安打を放ったのは、高橋由伸(巨)が00年9月5日広島戦で高橋建からサヨナラ本塁打して以来23年ぶり。

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