DeNA熱戦ドローに、「戸柱―関根」の信頼関係が大貢献!

[ 2023年5月21日 21:03 ]

セ・リーグ   DeNA3―3ヤクルト ( 2023年5月21日    横浜 )

<D・ヤ>延長10回、内山の左飛を返球する関根(撮影・島崎忠彦)
Photo By スポニチ

 DeNAの捕手・戸柱は確信があった。

 「(関根)大気の球は変なバウンドは絶対にしないっ!」

 3―3の延長10回1死満塁。絶体絶命のピンチで「ビッグプレー」が飛び出した。

 三嶋が投じた139キロのスライダーを内山が打ち返す。打球は左翼手・関根の前方にフラフラと上がった。いわゆる三塁、遊撃、左翼の間の「三角ゾーン」。前進しながら遊撃手・柴田の動きも視界に入った関根の捕球は、柴田との接触を避けるような形でポケットキャッチに近い形となった。

 戸柱は三塁走者・山田のタッチアップについて「半々の可能性だと思った」と言う。だが、浅い飛球で山田は走った。関根の捕球体勢も悪くそのスタートは正解に近い。加えて関根の送球も、戸柱の直前でショートバウンドする最も難しい形となった。

 戸柱は試合前のシートノックで何度も関根の球を受けている。そのことがこの場面で生きた。関根の送球は、球の回転がよくバウンドしてもまっすぐに来る。そこで「球の回転がいいので、捕球にいけばすんなりグラブに入る」と判断した。そしてその直感どおり、「勝負にいった」戸柱の前進捕球のグラブに白球は収まった。

 それだけではない。戸柱は山田にタッチするため横に飛んだ。そして転倒しながら山田に触れた。「普段、あんな動き練習してないっすよ」と汗をぬぐった女房役のプレーを目前で見た三嶋も、拳を突き上げ併殺プレーを喜んだ。

 コンマ数秒のプレーの中で生きたのは、練習から見極めている球質を知る力。重要な場面で「関根―戸柱」の信頼関係が一本の線で結ばれた。そして戸柱の「ダイブ」。この一連のプレーは、4時間53分のドローの中でハイライトの1つだった。
(大木 穂高)

続きを表示

この記事のフォト

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年5月21日のニュース