不調でも阪神・大竹がもたらした土曜神話 森下サヨナラ信じトレーニング中断で「念願の“水かけ”」

[ 2023年5月21日 07:00 ]

セ・リーグ   阪神1-0広島 ( 2023年5月20日    甲子園 )

9回、サヨナラ勝利を喜ぶ大竹(撮影・大森 寛明)
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 阪神の先発・大竹が7回6安打無失点と好投し、防御率を0.48へ良化させた。規定投球回未満ながら“隠れ1位”を堅守。37年秋の御園生崇男に並ぶ開幕から6戦6勝こそ逃したものの、6戦無敗は継続した。7―10の乱打戦となった前日19日から一転、引き締まった展開に持ち込み、森下の劇打を呼び込んだ。

 「正直そこまで調子は良くなかった。その中で、何ができるかを考えながら投げた」

 制球力抜群の左腕には珍しく、初回先頭・菊池に12球粘られた末に四球を与えた。ここで揺らがないのが虎の大竹。続く上本を3球で追い込み、捕手・坂本との共同作業で三振ゲッツーに仕留めた。「ふわふわしている中であれで落ち着いた感じ。しっかり試合に入っていけた」。2回以降も毎回走者を背負いながら、三塁を踏ませぬ粘投を展開。7回を99球で投げ切り、後続を岩貞に託した。

 「長打をケアして丁寧に投げることだったり、少し間合いを変えてみたり、工夫して投げることができた」

 ピッチングに加え、打って、走って大ハッスルだ。3回先頭ではうれしいプロ初安打となる遊安。しぶとく三遊間に運び、激走でもぎ取った一打を「森下君の(球の)軌道を知っているんで」と事もなげに振り返った。実は森下とは、大学時代に東京六大学リーグでも投げ合っている。17年9月10日、秋季リーグ2回戦。早大4年の大竹は明大2年の森下とそろって先発し、投げ勝った上、二塁打も放った。6年ぶりに実現した再戦。立場と舞台が変わっても、リベンジは許さなかった。

 「絶対、水をかけるのをやりたかった。ベンチ裏でトレーニングしていたけど、森下が打席に行ったぐらいから準備して。念願の“水かけ”ができた」

 信じる仲間と甲子園のど真ん中で歓喜に浸った。これで今季、土曜は6戦6勝。強く背中を押してくれる虎党へ、目覚めのいい日曜の朝を贈り続けている。 (八木 勇磨)

【データ】
 阪神は今季土曜日を開幕から2度の降雨中止を経て6戦6勝。現在“無傷の曜日”を継続しているのはロッテの水曜日7戦全勝との2例だけ。開幕週に先発の秋山以降は大竹が3度、村上が2度先発と、今季チームの快進撃を支える両腕を起用する必勝態勢だ。

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