【追球】菊池の生還阻止!柳田の「勇気」と明石の「リスク管理」が生んだビッグプレー

[ 2018年11月1日 11:30 ]

SMBC日本シリーズ2018第4戦   ソフトバンク4―1広島 ( 2018年10月31日    ヤフオクD )

<ソ・広>初回1死一塁、丸の右中間への打球を柳田が素早く返球(撮影・篠原岳夫)
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 初回1死一塁、右中間を破った広島・丸の打球を追いかけたソフトバンク・柳田は突然、足を緩めた。着地点までまだ、距離はあった。ただ、右中間フェンス最下部に当たったボールはダイレクトでこの男の目の前に跳ね返ってきた。

 「ある程度、この辺に跳ねてくるのは予測していました。だいたい、方向は分かるし、ちょうどよかった」

 ヤフオクドームには15年シーズンからホームランテラスが完成。それまで弧を描くようなふくらみがあった右中間フェンスは最大5メートル前にせり出し、直線の壁になった。背番号9はその跳ね返り角度、強さを一番知る。その経験に裏打ちされた「読み」は大胆な位置取りにつながった。

 捕球し、振り返りざまに投げている途中、二塁・明石が定位置より、15メートルほど距離を詰めているのが見えた。強肩の柳田だが、距離が短い方が正確性はさらに上がる。「柳田は振り向きざまでも強い球を投げる。明石がマックスで投げられるところまで走ってくれた」と水上内野守備走塁コーチ。明石も最短で捕手の甲斐へワンバウンドでストライク送球と、一塁走者・菊池の生還を阻止した。

 その距離は100メートル以上あった。柳田が投げる時点では菊池は三塁ベース手前だったが「いいラインに入れた」と明石。約6秒でつながった一本の線が先制点を防いだ。「素晴らしいチームプレーでアウトにし“よし、いける”となった」と工藤監督。試合前までは打率・083だった丸のシリーズ初適時打も防いで、広島のキーマンを起こさなかった。

 「自分(が広島三塁コーチ)でも回した。ワンステップでも多ければダメだったと思う」と村松外野守備走塁コーチ。柳田の「勇気」と明石の「リスク管理」。2つが生んだビッグプレーだった。(福浦 健太郎)

 《63年ぶり3人目》中堅手の柳田(ソ)が初回に二塁手・明石のカットを挟み、本塁送球で補殺を記録。自身シリーズの外野補殺は14年対阪神第4戦で中堅から二塁送球で記録したのに次ぎ2度目。チームで外野補殺を2度以上は堀井4度(51、52年各2度)、島原2度(52、55年各1度)以来63年ぶり3人目になる。また、シリーズで先制点阻止の本塁送球による外野補殺は51年第1戦堀井(南海)、65年第4戦柳田(巨)、76年第2戦柴田(巨)、16年第2戦近藤(日)に次いで5人目。過去4人はその試合にチームは敗戦。勝利につながったのは今回が初めてだ。

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