ソフトB上林 シリーズ新記録本拠11連勝弾 “同門”誠也先輩の前で先制V2ラン

[ 2018年11月1日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2018第4戦   ソフトバンク4―1広島 ( 2018年10月31日    ヤフオクD )

<ソ・広>3回2死一塁、上林は右越えに先制2ランを放つ(撮影・三島 英忠)
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 ソフトバンクがホームで連勝し、対戦成績2勝1敗1分けと今シリーズで初めてリードした。第3戦まで打率・091だった上林誠知外野手(23)が3回、日本シリーズ自身初本塁打となる先制2ラン。交流のある広島・鈴木誠也外野手(24)がアーチを量産する中、タカの背番号51も自分の打撃を取り戻した。シリーズ本拠地11連勝は新記録となった。

 思い描いていた目標は、大舞台で現実になった。0―0の3回2死一塁。1番・上林が野村の内角スライダーを捉えた。打球は高々と上がり、右翼手・鈴木の頭上を越えていった。日本シリーズ1号に「打った瞬間、楽勝で行くと思った。(ホームランは)本拠地に来たら打てる気がしていた」と胸を張った。

 シリーズ開幕2日前。1歳年上の広島・鈴木から「やったーー」というLINE(ライン)のメッセージが届いたのは、広島に向かう新幹線の中だった。対戦を楽しみにする思いの表れ。17年1月にともに内川の宮崎での自主トレに参加し、ポジションも51番の背番号も同じ先輩と切磋琢磨(せっさたくま)する間柄になった。「師匠(内川)の前でいいところを見せられれば。2人で打ち合いたいですね」と上林も思った。

 鈴木とはシーズン中も連絡を取り合い、打撃についてのアドバイスももらう。「誠也さんは今年は、あまり足を上げなくしたと言っていたので、自分もやってみようかなと」と、右足の上げ幅を抑えるフォームを取り入れ、シーズンでは自己最多の22本塁打を放った。

 昨季は不振で日本シリーズは1打席だけに終わった。今年も第1戦は4三振を喫し6打数無安打。翌日は発熱と嘔吐(おうと)の症状が出て欠場した。第3戦でスタメン復帰し自身シリーズ初安打を放ったが11打数1安打と苦しんでいた。一方の鈴木は前日に2本塁打。「あの人が打ちまくるので」と、ライバル心に火が付いていた。この日はお互いに一発を放ち「今日も打ちやがったので、明日は眠ってもらって」と笑った。

 CS、日本シリーズで4度、MVPを獲得した師匠の後押しもあった。内川からは「シリーズはどれだけ打ったかではなく、どこで打ったかが大事」と助言されていた。7回の第4打席では右翼ポール際にホームラン性の大ファウルを放った。

 チームは11年シリーズからヤフオクドーム11連勝。2勝1敗1分けと広島に先行し、シーズン2位からの下克上日本一に近づいた。工藤監督は「(上林は)見事なホームラン。“やったー”という感じです」。ライバルと指揮官から、同じ言葉が飛び出した。 (川島 毅洋)

 《球団最年少》上林(ソ)が3回にシリーズ1号となる決勝2ラン。チームのシリーズ決勝本塁打は、15年第5戦の李大浩(イ・デホ)に次ぎ11人目、13本目。うち、上林の23歳2カ月は、99年第3戦の城島健司(23歳4カ月)より2カ月若い最年少記録になった。

 ☆鈴木と上林の合同自主トレ 上林は2年目の15年、尊敬する内川の自主トレへの同行を志願。翌16年から広島・鈴木も加わり、ともに「内川塾門下生」となった。1月を宮崎・日向でともに過ごし、鈴木は同年に29本塁打、打率・335。「神ってる」が流行語にもなり、大ブレークを果たした。17年も同じ顔ぶれで自主トレを行い、上林は同年に自身初の開幕1軍入り。134試合で打率・260、13本塁打と成長を見せた。

 【上林という男】

 ★尊敬する選手 入団時からイチロー(マリナーズ会長付特別補佐)を挙げる。同じ背番号51で、昨季終了後には同じ「ビモロスパイク」を製作。グラブもイチローモデルを使ったことがある。昨季まで同僚で同じくイチローを敬愛する川崎氏は「ホークスは凄いモンスターを生み出した。“イチローになれ!”と打席に送り出しています」と話す。

 ★曲芸打ち 仙台育英時代の13年センバツ2回戦(対創成館)でイチローばりにワンバウンドした投球を捉え、右中間適時二塁打を放った。中学時代から続ける右手小指をバットのグリップエンドにかける姿も「イチ流」。

 ★稲葉打法 侍ジャパン・稲葉篤紀監督がキャスター時代、右足の使い方など打撃指導し「僕に似ているので気になる選手ではある」。上林も「(似ていると)よく言われます」。

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