由伸監督、菅野快投に「文句のつけようがない」史上最大下克上へ第一歩

[ 2018年10月15日 07:12 ]

セ・リーグCSファーストS第2戦   巨人4―0ヤクルト ( 2018年10月14日    神宮 )

ノーヒットノーランを達成した菅野(右)を笑顔でねぎらう高橋監督(撮影・大塚 徹)
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 背番号24が左翼席に歩みを進める。スタンドは総立ちで出迎えた。耳をつんざくような「由伸コール」。巨人・高橋監督は帽子を取って大歓声に応えたが、鳴りやまない。神宮の夜空に、いつまでも、いつまでも鳴り響いた。

 「もう…この終盤に来てのピッチングは凄いよね。何と言っていいか…言葉が出ない。文句のつけようがない、言うことのない結果を残し続けている」

 目を輝かせて絶賛したのは菅野の球史に残る快投だった。エースの投球はベンチで見ているだけでいい安心感だったが、打線については試合前に動いた。7番を陽岱鋼(ヨウダイカン)から亀井に戻した。「いろいろ(理由は)あるよ」。戦略上の理由には多くは語らなかったが、4日の広島戦以来、3試合ぶりのスタメンに起用した。4回。その亀井が、右中間席にダメ押し2ランを放った。

 相手先発・原との通算成績は陽岱鋼の打率・200、0本塁打、1打点。対する亀井は打率・529、2本塁打、10打点と好相性だった。あとは打撃や動きの状態だけ。慎重に見定め、亀井を信じた。早めの継投にヒットエンドランを仕掛けた前日とは異なり、試合前に勝負に出た。

 辞任を決意し、球団側にも伝えた後の9月下旬。千葉県内に眠る亡き父・重衛さんの元を訪れた。「今年で辞めます」。両手を静かに合わせ、語りかけた。毎年、シーズン前と後に報告に訪れていた。幼少期には日が暮れるまで野球の練習に付き合ってくれた父。誰よりも「高橋由伸」のファンであり、どんなときも応援してくれた。そんな父にリーグ優勝の報告はかなわぬまま、辞意を報告した。

 だが、まだ日本一が残されている。それも勝率5割以下では史上初となる「下克上日本一」。「(日本一への)チャンスをつかみたい。みんなの思いは強い。今は本当に、投打ともにいいものを出してくれている。何とかそれをうまく生かしたい」と指揮官。チームは今、一つにある。最高潮のボルテージとなって広島へ乗り込む。(川手 達矢)

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2018年10月15日のニュース