菅野 毎回17K!MAX155キロも出た

[ 2010年6月13日 06:00 ]

<慶大・東海大>2回2死三塁、慶大・長崎を三振に仕留め、雄叫びをあげながらガッツポーズする東海大・菅野

 全日本大学野球選手権は12日、神宮球場で準決勝2試合が行われ、10日の準々決勝・同大戦で7回参考記録ながらノーヒットノーランを演じた東海大の菅野智之投手(3年)が、1試合最多の大会記録にあと2と迫る毎回の17奪三振で慶大を完封。巨人の原辰徳監督(51)のおいに当たる右腕が、またも快投を披露した。決勝は東洋大との顔合わせとなり、両校が決勝で対戦するのは2008年の第57回大会以来。同戦で東海大は敗れており、再戦で雪辱を果たせば、4度目の優勝となる。

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 最後は152キロの直球だった。代打・松尾を空振り三振に仕留めた菅野は、笑顔を輝かせて右拳を握った。

 「最後は三振を取りに行った。3人で終わった方があしたにつながる。緩急というか中盤は変化球が多かったけど、最後は真っすぐで、との配球プランがうまくいった」

 142球を要したが、余裕の投球だった。150キロ超えは18球を数え、93キロのスローボールなど最大62キロ差の緩急を効かせた。一方で、剛球も見せた。圧巻は6回。自らの暴投で2死三塁とピンチを招くと、5番・高尾康に対し、自己最速を1キロ更新する155キロの直球で空振り三振に抑えた。「あそこは狙った。力で行くことで相手に“やっぱり無理だ”と思わせたかった」。そこから5者連続三振。バットだけじゃない、打席で相手の心までをも折った。

 今大会は3試合に登板、計24回を投げ自責は0。この日は前の試合までほとんど投げていなかったフォークボールも解禁した。計算され尽くした大人の投球に、横井監督は「今季一番の投球。緩急をつけてくれたが、今までそれができなかった。神宮に来て成長している」と目を細めた。

 2年前の決勝。1年生だった右腕は4番手で1/3回だけ投げた。「あのときは何となく(マウンドに)立っちゃったというのはあった。今回は自分が投げて勝ち上がってきた決勝戦。決勝はもっといい投球ができると思っている」。自己採点は準々決勝が80点、準決勝が90点。あと一歩に迫った頂点は、満点投球で必ずつかむ。

 ◆菅野 智之(すがの・ともゆき)1989年(平元)10月11日、神奈川県相模原市生まれの20歳。小1で野球を始めポジションは投手。新町中3年時に県大会優勝。関東大会では8強に進出した。東海大相模では2年春からベンチ入り。3年夏は決勝で桐光学園に8―10で敗れ、甲子園出場を逃した。東海大では今春を含め最優秀投手に3度選出されるなど、リーグ戦通算30試合で20勝2敗、防御率0・74。1メートル85、86キロ。右投げ右打ち。

 <慶大 竹内大2被弾…「力負け」>優勝した1987年以来、23年ぶりの決勝進出を逃した。先発の竹内大は2本塁打を浴びて7回途中3失点で降板。肩の張りから、この日が今大会初登板だった2年生左腕は「普通に投げられたが、力負け」と話した。頼みの打線も、東海大・菅野の前に先発全員の17三振を喫し、江藤監督は「いろんなこと(指示)を言ったけど駄目だった。いい投手だった」と脱帽するしかなかった。

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2010年6月13日のニュース