金谷拓実 国内メジャー初制覇 闘病中の母へ届けた完全優勝 盟友・中島の存在が刺激

[ 2023年6月5日 04:30 ]

男子ゴルフツアーBMWツアー選手権森ビル杯最終日 ( 2023年6月4日    茨城県 宍戸ヒルズCC西C=7430ヤード、パー71 )

<日本ゴルフツアー選手権・最終日>18番、ウイニングパットを決め、ギャラリーの声援に応える金谷(撮影・藤山 由理)
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 日没サスペンデッドとなっていた第3ラウンド(R)の残りと最終Rが行われ、首位で出た金谷拓実(25=Yogibo)が2バーディー、2ボギーの71で回り、通算11アンダーで初のメジャー制覇を完全優勝で飾った。2月インターナショナルシリーズ・オマーンに続く今季2勝目、国内では21年4月以来、アマ時代を含め通算4勝目となった。通算9アンダーで2位の岩田寛(42)が今季賞金ランク(有資格者を除く最上位)により7月全英オープン出場権を手にした。

 グリーンと池の間のわずかなラフに落として弾ませた。魂の一打が奇跡を呼んだ。難易度2位の17番パー4。左の深いラフ、残り195ヤードからの2打目は6Iを握った。「池ポチャは嫌でしたし、キャディーさんはレイアップも考えたと思う」。だが金谷は狙った。打球はラフで勢いが吸収され、手前のピン50センチにつくスーパーショット。後続を突き放すバーディーとなった。

 アマ時代からしのぎを削る盟友、中島の存在が火を付けた。「彼も魂を込めたプレーをしていた。相乗効果と言うか、だから17番も強い気持ちで打てた」。互いに意識し合い、攻めのショットの応酬が奇跡の一打につながった。欧米を転戦し、予選落ちが続いた昨年は自信も喪失。ショットが曲がるのが怖くなった。だが、そんな姿はみじんも見られなかった。

 ゴルフもどん底だった昨夏、実家で母・美也子さんから乳がんに罹患(りかん)していることを明かされた。動揺した。今も入退院を繰り返す。それでも苦しい姿を見せない母を見て「また頑張ろう」と誓った。前週ミズノ・オープンは最終日に母が観戦したが、1打差でV逸。今週は絶対に勝ちたかった。「テレビで見てくれたと思う」と言葉を詰まらせた。

 19年にアマVを達成したときと同じ黄色のウエアを着用、前夜のハンバーグも験を担いだ。初日から首位を守る完全Vでメジャーを初制覇。5年シードと欧米ツアー(BMWインターナショナル、ZOZOチャンピオンシップ)の出場権も手にした。「どんな試合も優勝したい」。自信を失い、自暴自棄になったのも過去の話。実家の母へ、日本中のファンへ、強い金谷を見せつけた。

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