【玉ノ井親方 視点】千秋楽1差決戦 玉鷲は突き放し、高安は左を差して前に出たい

[ 2022年9月24日 19:39 ]

大相撲秋場所14日目   ○玉鷲(押し倒し)翔猿● ●豊昇龍(引き落とし)高安〇 ( 2022年9月24日    両国国技館 )

<大相撲秋場所14日目>翔猿(左)を押し倒しで破る玉鷲(撮影・久冨木 修)       
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 37歳の玉鷲と32歳の高安。ベテラン2人が優勝を懸けて、千秋楽の土俵で対戦することになった。

 玉鷲は立ち合いから思い切り当たっていった。12日目と13日目の立ち合いの当たりがいまひとつだっただけに、これではいけないと気を引き締め直したのだろう。

 翔猿とは過去1勝2敗。懐に入られるのが嫌で、何となく取りづらさはあったようだが、もろ手で相手の上体を起こすと喉輪で押し込み、そのまま押し倒した。気迫十分の相撲だった。

 一方の高安も立ち合いが良かった。かち上げるように豊昇龍の体を起こし、相手が上体を戻そうと前のめりになったところをタイミング良く引き落とした。立ち合いの当たりに威力があり、前に出る圧力があるから、引き技もよく決まる。12日目の若隆景戦から相撲内容に余裕が感じられる。

 千秋楽の本割で玉鷲が勝てば2度目の優勝。高安なら決定戦だ。高安はかち上げで相手を起こして、左を差して前に出たい。玉鷲はまわしを取られたくないから、突き放していきたいだろう。

 過去の対戦成績は通算31回の取組で玉鷲15勝、高安16勝と互角。ただ、精神的には追いかける方が気は楽だ。高安はこれまで何度も優勝争いしながら、惜しくもチャンスを逃してきた。優勝したい気持ちは人一倍あるだろう。ただ、勝敗は運にも左右される。

 勝ち負けを意識せず、自分の相撲を取り切ることに集中することが大事だ。本割で勝てば副賞の決定戦がついてくるというくらいの気持ちで取った方が、ゆったりとした気持ちで勝負に臨めるのではないか。見ている人が身を乗り出すような好勝負を期待したい。(元大関・栃東)

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