田中希実 大会新Vも「純粋な気持ちで臨めるレースに…」世界陸上の涙から2カ月

[ 2022年9月24日 07:00 ]

全日本実業団対抗陸上選手権第1日 ( 2022年9月23日    岐阜長良川競技場 )

1500メートルのレース前に気持ちを落ち着かせる田中
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 女子1500メートルに東京五輪8位入賞の田中希実(23=豊田自動織機)が出場し、大会新記録となる4分10秒41で優勝した。国内のレースに出場するのは、8月7日のトワイライトゲームス以来、約1カ月半ぶりとなった。

 決勝2組は最後方からレースを展開。ラスト2周で中団、ラスト1周で先頭に立ち、そのままゴールを駆け抜けた。降りしきる雨の中でごぼう抜きを見せたが、取材エリアでは課題や反省を口にした。

 「今日は自分でレースをつくるというより、うまくレースに乗って自分のものにしようと思っていた。でも、逆にいつもと違う形で走ったので、自分の中で戸惑いや焦りが出てしまった。自分で自分を制御し切れていなかった」

 米オレゴン州で開催された7月の世界選手権には800メートル、1500メートル、5000メートルに出場。異例となる個人3種目に挑戦したが、800メートルは予選敗退、1500メートルは準決勝敗退、5000メートルは12位に終わり、最後の5000メートル決勝を終えた後は取材エリアで涙をこぼした。結果を残さないといけないプレッシャー、そして結果を残せなかった自分へのふがいなさがあった。

 イタリアや米国のレースを転戦し、久しぶりに臨んだ日本での大会。世界選手権後の心身の移り変わりなどを問われると、今も葛藤があることを正直に明かした。

 「世界陸上が終わってからも、練習は積めていた。そこの部分で気持ちは折れずにできている分、逆に地力がついているけど、それをうまく発揮できていなかったり。“世界陸上で結果が出なかったからこそ、次は結果を残さないと”というのが、より強くなっちゃっていると思うので。

 “守るものもなく純粋に練習の成果を出すぞ”という気持ちで臨めるレースに出会いたいなと思うけど…。ただ、自分自身で(気持ちを)コントロールして乗り越えないと、そういうレースは巡ってこないと思うので。運が向いてくるのを待つというより、自分で制御をして、いろんなことを受け入れながら粘るというか、食らいついていきたい」

 心身ともに充実した状態には戻っていない。それでも、自分自身とも戦いながら走り続ける。あす15日には5000メートルに臨む。

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2022年9月24日のニュース