新入幕・水戸龍「自分のペースで」無欲すぎる元学生横綱 盟友・逸ノ城の初Vにも刺激は受けず

[ 2022年8月29日 15:25 ]

新入幕を果たし、会見を行った水戸龍(左)と師匠の錦戸親方(日本相撲協会提供)
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 大相撲秋場所(9月11日初日、東京・両国国技館)の新番付が29日、発表され、新入幕を決めた水戸龍(28=錦戸部屋)がオンライン会見を行った。

 日大時代にアマチュア横綱や学生横綱など数々のタイトルを獲得してきた“怪物”がついに新入幕を果たした。幕下15枚目格付け出しデビューからわずか4場所で新十両に昇進し、それから4年半。「無理しないようにと自分のペースでやり過ぎました。遅くてすいませんでした」と振り返った。同席した師匠の錦戸親方(元関脇・水戸泉)にとっては部屋創設から20年で初めての幕内力士誕生。「大きな体を使い切れていない歯がゆさがあった。うれしい反面、やっと上がってくれたなという気持ちでいっぱい」と感慨深く語った。

 無欲の幕内昇進となった。名古屋場所で幕内優勝を争った逸ノ城(29=湊部屋)と横綱・照ノ富士(30=伊勢ケ浜部屋)はともにモンゴルから同じ飛行機で来日して鳥取城北高に相撲留学した盟友。2人の活躍による刺激はあったかと問われると「なかったです」と即答。先に幕内で活躍している姿を見ても「悔しいという気持ちは思ったことない」とマイペースを貫いてきた。同学年には関脇・若隆景や小結・阿炎ら多くの関取がいるが「意識したことはない」という。師匠は「良い意味でも悪い意味でもマイペースですね。穏やかな性格で貪欲さがない。基本的に優しいですね」とフォローした。その考えは今後変わっていくかと問われても「相変わらずいつも通りいきたいと思います。また自分のペースで少しずつやっていくしかない」と返答。これには師匠も苦笑いするしかなかった。

 1メートル90、198キロの巨体を生かした右四つの力強い相撲が持ち味。師匠は「大きい体を生かして前に出れば向かうところ敵なしだと思う。逸ノ城のように新入幕で“水戸龍旋風”を見せてもらいたい」と期待した。水戸龍の新入幕場所での目標は「とりあえず勝ち越し」とこれまた控えめ。それでも、照ノ富士や逸ノ城と「やっと同じ土俵に立てる。対戦できる地位に上がれるように頑張ります」と幕内での再会を夢見た。

 ◇水戸龍 聖之(みとりゅう・たかゆき)本名=バーサンスレン・トゥルボルド。1994年(平6)4月25日生まれ、モンゴル出身の28歳。15歳で来日し、鳥取城北高に相撲留学。3年時に全国選抜宇佐大会3位、国体準優勝。日大1年時に東日本学生新人戦優勝、全国学生体重別大会無差別級優勝、全日本選手権3位。2年時に世界選手権(モンゴル代表)無差別級優勝。3年時に全日本選手権優勝(アマチュア横綱)。4年時に全国大学宇佐大会優勝、全国選抜大学社会人対抗和歌山大会優勝、世界選手権無差別級優勝、全日本大学選抜十和田大会優勝、全国学生選手権優勝(学生横綱)。17年夏場所、幕下15枚目格付け出しでデビュー。18年初場所で新十両。新十両からの連続十両在位27場所は歴代6位タイで、平成以降では最長記録だった。1メートル90、198キロ。血液型A。

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2022年8月29日のニュース