大金星!と思ったけど…若元春がぬか喜び 前代未聞“まわし待った”で組み直し7分後再開

[ 2022年7月18日 05:20 ]

大相撲名古屋場所8日目 ( 2022年7月17日    ドルフィンズアリーナ )

照ノ富士が若元春に寄り切られるも式守伊之助(右)に確認する(撮影・亀井 直樹)
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 前代未聞の“まわし待った”で熱戦に水を差されながら、横綱・照ノ富士は冷静に平幕の若元春を下手投げで転がし、2敗で優勝争いトップに並んだ。1敗だった平幕の逸ノ城は琴ノ若に敗れ、2敗で7人が並ぶ大混戦となっている。

 今場所最多の観衆6752人が見つめる結びで珍事が起きた。立ち合いから2分過ぎ、土俵中央で右上手、左下手をつかむ得意の形で若元春が寄る。やや伸びた1枚まわしを左下手で握っているだけの照ノ富士は力が抜けたように後退。土俵を割ったかに見えた。

 だが、この直前、立行司の式守伊之助が“まわし待った”をかけていた。その動きが視界に入った照ノ富士はすぐに反応する。しかし待ったの声かけやアピール動作が不十分で、行司に背中を向けていた若元春は「全然分からなかった。(土俵を割った体勢の)横綱が不思議そうな顔して“何かあったのかな”と気づきました」と振り返る。NHKのテレビ中継で解説を務めた舞の海秀平氏は「厳しいけれど、行司の大失態と言われても仕方がない」と指摘した。

 本来の“まわし待った”なら、声がかかった位置で両力士を静止させ、緩んだ締め込みを直し、再開する。この日は両力士がそれぞれ東西の控えに下がり、審判が土俵上で協議。約2分半をかけ、待ったの場面から再開と決定。ただ、その後は佐渡ケ嶽審判長(元関脇・琴ノ若)とビデオ室担当の藤島審判(元大関・武双山)が連絡を取り、体勢“再現”までに4分半。計7分もかかり、両者の呼吸はすっかり整った。

 再開後は照ノ富士が1枚ではなく、がっちりつかんだ左下手一本で豪快に若元春を振り回し、転がした。後味がよくない勝利を手にした横綱は取組後の取材に応じず、会場から引き揚げた。

 ▽審判規則行司第15条 競技中に力士の締め込みが胸まで伸びて、止めやすい状態の場合は、行司は動きを止めて、締め直させることができる。

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2022年7月18日のニュース