サニブラ収穫の日本一 10秒08で世陸切符 1カ月間で課題修正を

[ 2022年6月11日 04:30 ]

日本選手権兼世界選手権代表選考会第2日 ( 2022年6月10日    大阪市・ヤンマースタジアム長居 )

男子100メートル決勝で優勝したサニブラウン(撮影・坂田 高浩)
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 男子100メートル決勝では、前日本記録保持者のサニブラウン・ハキーム(23=タンブルウィードTC)が10秒08で3年ぶり3度目の優勝を果たした。7月の世界選手権(米オレゴン州)の参加標準記録(10秒05)を突破する10秒04を準決勝で出しており、出場権獲得条件の3位以内を文句なしでクリア。日本王者に返り咲き、4大会連続となる世界の舞台に挑む。

 決勝のレーンに立ったサニブラウンは、静かに燃えていた。「数々のケガを乗り越えて今の自分がある。足が引きちぎれても走ってやろう」。昨年はヘルニアによる腰痛の影響で6位に沈んだ舞台。スタートこそ出遅れたが、30メートル過ぎから一気に加速し、トップでフィニッシュ。ため込んだ思いをぶつけ、頂点に立った。

 決勝は追い風1・1メートルの好条件。9秒台を狙えるチャンスもあっただけに「(スタートの)反応が話にならないくらい遅かった」と悔しがる。優勝という最低限の結果を出したが、世界舞台への課題が見えた。「トップの人たちと走るには前半で置いていかれたら話にならない。1カ月間、磨き上げて、本番で強い自分を取り戻す」と高みを見据えた。

 日本でのレースをトップで駆け抜けたが、普段は仲間たちの背中を常に追う。拠点の米フロリダ州では、9秒76の記録を持つ15年世界選手権銅のトレイボン・ブロメル(米国)らと汗を流す。10秒の壁をこじ開けても、その先の世界を体感し続けてきた。エリートたちにもまれる中で「これをやっていたら負ける気がしないというメンタリティーをみんな持っている」と気付いた。積み上げた練習量に裏打ちされた自信が、背中を押した。

 当時の日本記録9秒97を出して「怖いものなし」で優勝した19年から3年が経過した。日本王者の称号を取り戻し、満を持して世界舞台へ向かう。「これで終わりじゃない。もっともっと成長して、過去の自分より強くなりたい」。ひと回り強くなったサニブラウンが、再び最高峰のレースに向かう。

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2022年6月11日のニュース