東京大会の報告書発表 今後の世界的イベント基準「東京モデル」アピール トラブルは前向きに明記

[ 2021年12月22日 21:14 ]

東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の理事会後の会見に臨む武藤敏郎事務総長
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 東京五輪・パラリンピック組織委員会は22日、大会を振り返る報告書を発表し、同日都内で開かれた理事会で報告を行った。670ページに及ぶ全体総括のほか、持続可能性とジェンダー平等に関する報告書も発表した。武藤敏郎事務総長によると、理事会では「9月の理事会やその後の(理事からの)意見がよく反映されている」と評価する声が多数だったという。国際オリンピック委員会(IOC)へは別途、公式リポートを来春に提出する。

 全体総括では新型コロナウイルス対策により、感染拡大やクラスター(集団感染)発生につながることなく大会が開催され、「東京モデル」として今後の大規模スポーツイベントの基準になると強調。大会前は世論調査や社説で開催に否定的な意見が多かったものの、大会後の世論調査(朝日、読売、共同通信、NHK)では6~8割が「良かった」とポジティブなものに変わったと指摘した。また、国際オリンピック委員会(IOC)調査では参加選手の80%が選手村を、89%が大会のコロナ対策を評価し、世界の65%が東京大会は「成功」と評価していることも紹介した。

 大会中の問題やトラブル発生についても各項目で明記されたが、暑さ対策は「一定の熱中症患者は発生したが、重症者は少なく抑えられた」、開閉会式は「過去の言動により辞任等の混乱が生じたが、本番では強いメッセージを発信」、競技日程変更は「直前となったため一部関係者から批判の声もあった」と前向きな表現が使用された。大会前のエンブレム盗用疑惑などについては記載がなかった。

 また、持続可能性の報告書では、大会中のスタッフらに用意された弁当約160万食のうち、19%にあたる約30万食が消費されずに処分される「食品ロス」があったと公表した。原因は当日のシフト変更などとし、処分されたうちの75%は飼料やバイオガスに転換したという。

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2021年12月22日のニュース