大輔に“100%満足できる演技を”、五輪切符へ長光コーチがエール 23日開幕全日本フィギュア

[ 2021年12月22日 05:30 ]

村元とのペアで4度目の五輪を目指す高橋大輔
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 北京五輪代表最終選考会を兼ねるフィギュアスケートの全日本選手権(さいたまスーパーアリーナ)が23日に開幕する。アイスダンスで進化の一途をたどる村元哉中(かな、28)高橋大輔(35)組(関大KFSC)。シングル時代の高橋を長年指導した関大の長光歌子コーチ(70)、村元を教えていた浜田美栄コーチ(62)が今大会限定の再タッグを組む。大会を目前に控え、長光コーチは4度目の五輪を目指す愛弟子へエールを送った。

 その成長ぶりに、幾多の選手を育ててきた長光コーチも驚かされた。村元、高橋組が出場した今年11月のNHK杯、そして日本最高得点を更新したワルシャワ杯などをチェック。高橋の動きは、1年前と別人だった。

 「昨年は哉中ちゃんに頼っていた大輔が、今年はリードして支えている。昨年のNHK杯や全日本はハラハラ、ドキドキしっ放しだったけど、今年は安心して見られる。ペアとしての足数も増しているし、2人で努力してきたんだなと感動しました」

 進化は数字が物語る。昨年のNHK杯のフリーダンスは93・10点だったのが、今年のワルシャワ杯では114・29点。芸術性などが評価される演技構成点も、43・92点から50・28点にまで伸びた。

 長光コーチは高橋と中2で出会い、大学時代は自宅に住み込ませて指導。10年バンクーバー五輪で銅メダルを獲得した。3度目の出場で6位だった14年ソチ五輪後に一度、師弟は離れた。「ソチの後は本当に疲弊していて、もうスケートがいっぱいいっぱい。“引退する”と聞いた時は“これは止められない”と。“引退しても戻ることはできるよ”と思ったけど、その言葉は口にしませんでした」

 14年10月の現役引退から3年余り。「復帰はもうないかな」と悟り始めていた17年大みそかに驚きの言葉をかけられた。「彼とその仲間らと年越しをしていたら、突然、私に“戻りたい”と。平昌五輪が懸かった全日本選手権での選手たちを見て戻りたいと思ったと。私はずっと待っていたので“やろうやろう”と返しました」

 4度目の大舞台を目指す中、新型コロナウイルスの新変異株の拡大などによる影響から、今大会限定で長光コーチらと再びタッグを組む。「ソチ五輪が終わった後の“何をすればいいか分からない”という姿を間近で見ていたので。大輔が今、新しい目標に向かって、いい目をして取り組んでくれていることが本当にうれしい」と同コーチ。アイスダンスの北京五輪出場1枠を小松原美里・尊組(倉敷FSC)らと争う全日本選手権へ「小松原さんたちも含めて、100%満足できる演技をして、その演技に点数を付けてもらって順番を決めてもらえたら」とエールを送った。

 ◇長光 歌子(ながみつ・うたこ)1951年(昭26)3月23日生まれ、兵庫県出身の70歳。現役時代は66年の全日本ジュニア選手権で優勝。芦屋高から武庫川女大に進み、72年に引退して指導者に。高橋大輔を含めて多くの選手を指導し、現在は関大アイススケート部コーチを務める。

 ≪米コーチ陣、変異株拡大で来日できず≫新型コロナウイルスの新変異株の拡大による水際対策強化で拠点の米国からコーチ陣が来られなくなり、村元と高橋のリクエストにかつて指導した2人が応えた。村元と高橋は連名で「長光、浜田コーチに急きょ代理をお願いし、快諾いただけたことはいかなる状況でも前を向く私たちにとって、大変心強い存在で一緒に戦えることをうれしく思います」とコメントした。

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